決済CLS決済の為の口座

CLS銀行に関する口座関係は
① 決済メンバーがCLS銀行に保有する「メンバー口座」
② CLS銀行が各国中央銀行に保有する「CLS口座」
という二段階構成となっている。

第一に決済メンバーは、CLS銀行に自行の口座(メンバー口座)を保有する。
この口座は通貨毎のサブ口座からなる多通貨口座であり、この口座同士の資金の振替によって外為決済が行われる。

第二にCLS銀行は、取扱通貨の中央銀行に、各国通貨建ての「CLS口座」を保有する。決済メンバーは、各中央銀行におけるCLS口座に資金を振り込むことによって、CLS銀行における自行口座に当該通貨を振り込むことが出来る。

1.CLS銀行におけるメンバー口座

決済メンバーは、CLS銀行にそれぞれ「単一口座」(single account)を有する。この単一口座は、取扱通貨毎の「サブ口座」(sub account)からなる。
つまりCLS銀行の取扱通貨である18通貨のサブ口座からなる「多通貨口座」(multi currency account)となっている(下図)。

CLS銀行ではこうした多通貨口座間での資金振替により外為決済が行われる。
例えば、A行ユーロ口座からB行ユーロ口座への支払いと、B行ドル口座からA行ドル口座への支払いが同時に行われることに より、ユーロ/ドル取引のPVP決済が行われる。
メンバー口座は各決済日毎に残高がゼロで始まり、決済プロセスが終了した時点で、再び残高はゼロになる。

2.各国中央銀行におけるCLS口座

CLS銀行は、取扱通貨を発行する各中央銀行に「CLS口座」を保有する。
決済メンバーが、決済に必要となる資金をCLS銀行へ振り込み(ペイイン)する際は、当該通貨の発行国の中央銀行にあるCLS口座に対して資金を払い込む。
つまり米ドルであれば、ニューヨーク連銀にあるCLS口座に、ユーロであればECBにあるCLS口座に、円であれば日本銀行にあるCLS口座にそれぞれ払い込む。
中央銀行のCLS口座で資金を受け取ると、CLS銀行では受け取った資金を自行内の決済メンバー口座に入金処理する。

一方決済メンバーが受け取った通貨をCLS銀行が決済メンバーに引き渡す場合は、当該通貨の発行国の中央銀行にあるCLS口座から決済メンバーの口座への支払いが行われる。
これを資金の払い出し(ぺイアウト)という。
例えばA行に米ドルを払い出すには、ニューヨーク連銀においてCLS口座からA行口座(又はその代理銀行口座)への支払いが行われる。

尚、こうした資金移動(ペイインペイアウト)は、各国のRTGS(即時グロス決済)システムを用い行われる。
即ち米ドルであればFedwire、ユーロであればTARGET2、円であれば外為円決済システム/日銀ネットによりこうした資金移動が行われる(下図)。

3.ノストロエージェント

通貨発行国の中央銀行におけるCLS口座への払い込み(ペイイン)は、必ずしも決済メンバーが全ての通貨について自ら行う必要はなく、通貨毎に他行に委託して行う方法が認められている。
この場合のペイインの委託先を「ノストロエージェント」という。決済メンバーが当該国RTGSシステム不参加の場合や当該通貨の資金調達能力や事務処理体制が不十分な場合などにノストロエージェントが利用される。

例えば米銀B行が日本円の払い込みを邦銀A行に委託した場合は、邦銀A行がB行にとっての日本円のノストロエージェントとなる。
又独銀Ⅾ行が米銀Ⅽ行に米ドルの払い込みを委託した場合は、米銀Ⅽ行がⅮ行にとってのノストロエージェントとなる(下図)。

他の決済メンバー分をまとめて払い込む必要があることから、ノストロエージェントは当該通貨について、高い資金調達能力を持っていることが必要である。
この為ノストロエージェントには、通貨発行国の銀行(米ドルなら米銀、日本円なら邦銀など)が選ばれるケースが多い。
通貨によってはペイインのかなりの部分がノストロエージェントを通じて行われている(円の払い込みにおいては、64行の内9行が決済メンバー自ら行っているが、55行は三つのノストロエージェント(邦銀)に委託している(2015年12月時点))。
ノストロエージェントは必ずしもCLS銀行の決済メンバーである必要はない(但しノストロエージェントは、当該国RTGSシステムの直接参加メンバーであることが必須条件)が、多くの場合決済メンバーとなっており、ノストロエージェントもCLS銀行におけるスムーズな決済の為の重要な役割を果たしている。