法務「金融商品取引業」の概念 その4

金融商品取引業の類型

(1)概要

金商法では、「金融商品取引業」(法2条8項)について、「第一種金融商品取引業」「第二種金融商品取引業」「投資助言、代理業」「投資運用業」という類型に区分されている(法28条1~4項)。
これは金融商品取引業者が行う業務内容如何により、金融商品取引業者の財産的基礎などを確保し、投資者保護を図るべき必要性の程度が自ずと異なる事から、業務内容の範囲に応じ、金融商品取引業が区分され、各区分に応じた行為規制や開業規制を設ける事により、業規制の柔構造化が図られている(法29の4、30条1項、31条の2)。
金融商品取引業者としての登録要件としては、「第一種金融商品取引業」が最も厳格で「投資運用業」「第二種金融商品取引業「投資助言、代理業」の順に緩やかになる。

(2)各類型

a.「第一種金融商品取引業」

「第一種金融商品取引業」は概ね、金融商品取引業の内

① 第一項有価証券についての売買、市場デリバティブ取引、外国市場デリバティブ取引など、有価証券売出し、特定投資家向け売付け勧誘等、有価証券募集、売出し、私募、特定投資家向け売付け勧誘等の取扱いなど(法2条8項1~3、5、8、9号)
② 商品関連デリバティブ取引についての媒介、取次ぎ、代理、委託の媒介、取次ぎ、代理、有価証券等清算取次ぎ(同項2、3、5号)(平成24年金商法改正)
③ 店頭デリバティブ取引など(同項4、5号)
④ 有価証券引受け(同項6号)
⑤ PTS(私設取引システム)行為(同項10号)
⑥ 金銭、有価証券の預託を受ける行為、社債等振替行為(同項16、17号)

の何れかを業として行う事である(法28条1項)。

上記⑥の業務は、「有価証券等管理業務」(同条5項)と呼ばれ、これらの行為は第一種金融商品取引業を行う者として、登録を受けている金融商品取引業者のみが行う事が出来、これは

① 流動性の高い第一項有価証券の取引には、多数の者が取引関係に関与する
② 店頭デリバティブ取引は特に専門性とリスクが高い
③ 有価証券の引受は専門性が高く、引受けリスクがある
④ PTS(私設取引システム)は、多数の参加者が予定された制度であり、円滑且つ安定した業務運営が特に必要とされる
⑤ 有価証券等管理業務は、財務健全性確保が成されねば、本来の権利者が権利を喪失する危険性が高い

事による。

b.「第二種金融商品取引業」

「第二種金融商品取引業」は概ね、金融商品取引業の内

① 有価証券の自己募集、私募(法2条8項7号)
② 第二項有価証券についての売買、市場デリバティブ取引、外国市場デリバティブ取引など、有価証券売出し、特定投資家向け売付け勧誘等の取扱いなど(法2条8項1~3、5、8、9号)
③ 有価証券に関連しない市場デリバティブ取引、外国市場デリバティブ取引など(同項1~3、5号)
④ 自己募集、私募をした投資信託受益証券、外国投資信託受益証券の転売を目的としない買取り(同項18号)

の何れかを業として行う事である(法28条2項)。

c.「投資助言、代理業」

「投資助言、代理業」は、金融商品取引業の内

① 投資助言行為(法2条8項11号)
② 投資顧問契約、投資一任契約の締結の代理、媒介(同項13号)

の何れかを業として行う事である(法28条3項)が、因みに①は「投資助言業務」と呼ぶ(同条6項)。

d.「投資運用業」

「投資運用業」は、金融商品取引業の内

① 投資法人資産運用行為(法2条8項12号イ)
② 投資一任運用行為(同号ロ)
③ 投資信託運用行為(同号14号)
④ ファンド自己運用行為(同項15号)

の何れかを業として行う事である(法28条4項)
金融機関が投資運用業に該当する行為を行う事は、「金融商品取引業」の該当行為の定義から除外されている(法2条8項柱書)が、当該業務は「投資運用業」の定義(「金融商品取引業の内」と規定)に含まれる事が禁止されている(法33条1項本文)。
投資運用業にかかる投資者(登録投資法人を含む)は「権利者」とされ(法42条1項柱書)、運用を行う財産は「運用財産」とされている(法35条1項15号)。
運用財産の運用対象が投資対象資産である(同条1項15号、2項6号参照)。

(3)有価証券関連業

a.趣旨

金商法では、従前の証取法における「証券業」が「金融商品取引業」に変更され、業の範囲が有価証券に関連しない業務を含むものに拡大されている一方で、従前の証取法65条に示されていた銀証分離の枠組みは、基本的に維持されている(法33条1項)。
この為金商法では、「有価証券」に関連する業務範囲を明確に画する為、従前の「証券業」に相当する概念として、「有価証券関連業」という定義が設けられている(法28条8項)。
尚、金融機関が有価証券関連業に該当する行為(同項各号)の何れかを業として行う事は、「金融商品取引業」の定義から除外されている(法2条8項柱書)が「有価証券関連業」の定義(法28条8項)には、金融機関が行う行為も含まれており、その上で金融機関の有価証券関連業が禁止されている(法33条1項本文)。

b.内容

「有価証券関連業」は

① 有価証券売買若しくはその媒介、取次ぎ、代理
② 取引所金融商品市場、外国金融商品市場における有価証券売買の委託の媒介、取次ぎ、代理
③ 有価証券に関連する市場デリバティブ取引
④ 有価証券に関連する店頭デリバティブ取引
⑤ 有価証券に関連する外国市場デリバティブ取引
⑥ 「有価証券関連デリバティブ取引」(③~⑤)の媒介、取次ぎ、代理若しくは③⑤の委託の媒介、取次ぎ代理
⑦ 一定の有価証券清算取次ぎ
⑧ 有価証券引受け、売出し、特定投資家向け売付け勧誘等若しくは有価証券募集、売出し、私募、特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い

の何れかを業として行う事である(法28条8項各号、令15条の2、3)。因みに⑥~⑧の行為は、「有価証券の引受け等」とされている(金商業等府令130条、1項9号)。