保険保険は仮想通貨を守れない

 1月26日に、東京の大手仮想通貨交換所コインチェックが、外部からの不正アクセスを受けて、約580億円分相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出したと公表しました。コインチェックは東京海上日動火災保険と仮想通貨保険契約を締結していましたが、流出した仮想通貨の返還は保険の適用とはなりません。
 仮想通貨は民法上、所有権その他取戻権の権利の対象とはならないため、仮想通貨の保有者は不正アクセスなどにより仮想通貨を盗んだ第三者に対して、返還を求めることができません。民法上、所有権は「法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利」(民法206条)と定義されています。所有権の対象となる所有「物」とは、「有体物」(民法85条)であり、「有体物」でないデータの仮想通貨は所有権の対象とはなりません。仮想通貨の保有者は、仮想通貨を盗んだ第三者に対して①不正送付された仮想通貨を受け取った者に対して不当利得の返還を請求すること(民法703条)、②法行為を理由とする損害賠償を請求すること(民法704条)、しかできません。民法上、不法行為の保護対象は所有権等の権利のみならず、「法律上保護される利益」(民法709条)も含まれるため、仮想通貨を保有することによる経済的利益もこれに含まれます。
 仮想通貨に関する保険の種類も、①個人を対象とした口座への不正アクセスで仮想通貨の盗難による被害を補償するタイプ、②交換所を対象にサイバー攻撃による仮想通貨の盗難による被害を補償するタイプ、③交換所のオペレーションミスや内部不正による被害を補償するタイプなど、損害賠償を補填するものに限られています。流出した仮想通貨の返還が保険の適用とはならないため、交換所は自己資金の日本円で流出した仮想通貨を補償するしかありません。コインチェックは仮想通貨「NEM」の保有者に対して自己資金で補償をしました。これに対し、政府は「不正アクセスなどによって流出した仮想通貨を日本円で補償され、かつ取得時の価格より返金価格が高い場合、非課税である損害賠償金には当たらず、雑所得として課税所得に含まれる」と見解を示しました。仮想通貨の送付をはじめ、仮想通貨のすべての操作には秘密鍵が必要となります。秘密鍵の保有者は仮想通貨へのアクセス権があり、仮想通貨の送付とは「仮想通貨のアクセス権を第三者に譲る」ことです。不正アクセスなどにより秘密鍵が第三者に知られると、第三者により勝手に仮想通貨が送付されてしまい、仮想通貨が流出。交換所が日本円で補償しても、強制的に利益確定がされ、最大で55%が雑所得(所得税法35条)として課税されてしまいます。
 雑所得は所得税における課税所得の区分のひとつであり、日本の居住者もしくは内国法人が仮想通貨へのアクセス権を持ち、仮想通貨で得た利益を対象とします(所得税法161条)。つまり非居住者もしくは外国法人が仮想通貨へのアクセス権を持ち、仮想通貨で得た利益は対象にはなりません。それが「税制のない」、たとえば中東の国であったらどうでしょうか。KPT Alliance Groupはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに本社機能を持つ外国法人です。そして、仮想通貨のアクセス権は第三者に譲ることができます。保険も政府も貴方の仮想通貨を守ってくれません。KPT Alliance Groupは貴方が「保有する」仮想通貨の防衛手段を知っています―――