税務マネーロンダリングの手口

 前回マネーロンダリングについて、我が国における対策と米国における対策を大まかな形で列挙し、我が国の対策の不備や体制の限界、そして米国のマネーロンダリング及びテロ資金供与に対抗する本気度について述べた。
 そもそもマネーロンダリングとは何か。定義としては”Money laundering”日本語で”資金洗浄”と訳され、犯罪により得た犯罪収益を出処やその所有者が判明せぬようにし、捜査機関による発見、検挙を免れんとする行為を指す。
 振り込め詐欺や賭博・売春などは、それそのものが経済的利益を得る目的とした歴とした犯罪行為であるが、これらによって得られた資金に足が付かないようにせねばならない犯罪者は、この”汚れた金”を”キレイな金”にする事で、”資金”を”洗浄”してしまうのだ。この一連の行為をマネーロンダリングと呼ぶ。

 特に銀行等の預金口座、送金取引を悪用したものが多く見受けられる。犯罪行為によって得た資金(ほとんどが現金である)を偽名で開設した預金口座に入金し、送金取引を繰り返し行うことで、最終的に出処を分からなくするなどの手口である。犯罪者達にとって有益なのは、銀行等が決済機能を有している点が大きい。
 また、証券市場も悪用される。取引の為連日多額の資金が流入、そのような取引資金へ犯罪収益を混入させれば原資が分からなくなり、あるいは無記名の物理的証券を利用すれば、容易に資金移転が行えてしまう。ちなみに我が国の株式等振替制度による株券等はペーパーレス化されており、このような手段は困難になっているが、金融商品取引業者も銀行等同様悪用されやすい。
 その他、貯蓄性保険商品を悪用し、犯罪収益を元に保険料を一括払いした上で中途解約。保険会社から払い戻しを受けて資金源を不明確にするので、上述の二つに比して相対的に低リスクとはいえ、マネーロンダリング及びテロ資金供与を目論む者に狙われる可能性がある。

 金融取引以外にも、一般的商取引を装えばマネーロンダリングは行える。ある価値を有する商品を売り手から買い手へ販売するとする。両者が共謀してしまえば容易に価値の移転が完了してしまう。 本来の価値100万円の商品を200万円で売却すれば買い手から売り手へ100万円分の価値の移転が行われ、反対に10万円で売却すれば買い手へ90万円分の価値の移転が行われるといった具合である。
 高額な商品を犯罪収益で購入し転売すれば通常の商取引により得た資金に仮装できてしまうなど、宝石貴金属、また、正規の価格が判断し辛い美術工芸品などは悪用され易く、規制の枠組みに含まれている。

 クレジットカードもまた悪用される。利用限度額が高額/無制限のもの、たとえ利用限度額があったとしても、マネーロンダリングの協力者などから複数のカードを譲り受ければ多額取引が可能になる。これにより現金で得られた犯罪収益を別形態の財産に換えることが容易である。また、犯罪者が国外協力者にカードを渡し、海外ATMで出金や大量物品購入に及び、換金してしまえば資金洗浄完了。事実上の海外送金である。
 さらにカードがプリペイド方式であれば繰り返し入金可能なうえ、資金の銀行口座経由が無い為、マネーロンダリングに悪用され易いと言える。

 マネーロンダリングリスクの最後の例は不動産取引である。一回的取引であり、上述の預金やクレジットカードのような反復取引ではないが、マンション物件などはどうであろうか?
 そもそもマネーロンダリングは金銭に換金する事が最終目的であり、値下がりの可能性が高い戸建てではなく転売し易いマンションが有効なのだ。