法務FinTechと電子署名法

 FinTechに纏わる法律について、続いて電子署名法について述べていく。

 電子文書契約にて管理・保管コスト削減、印紙税法に於ける課税文書に該当せず、印紙税課税対象外となるメリットが得られるが、コスト面メリットに於ける利用者ニーズに加え、電子署名技術に於ける安全性向上、又、認証に於ける電子証明書格納情報拡大・統一化などの環境整備を踏まえ、FinTech企業の電子文書作成補助などに参入が予想される。

 規制概要を述べていく。2001年制定、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)は署名押印を電子的代替する仕組みについて定め、メール、PDFファイルなど電磁的記録に対し、紙媒体契約書などに於ける署名押印同様の証明力を付する狙い。
 重要な契約締結の際、実印を用い押印、印鑑登録証明書を相手方に交付、一致する事を示さねばならない。契約に於いて紛争が起きた場合、当事者の署名押印が成された契約書を裁判所に提出し、契約書記載内容が、当事者の意思に基づき作成されている事が認められ、契約が成立している事の立証に繋がり易くなる。契約書面に於いて、本人若しくは代理人の署名押印がある時、当該書面は真正に成立したものと推定すると民事訴訟法228条4項が示す。
 しかし乍ら是に対し、電磁的記録にて作成される書類に於いては、内容が容易に改竄出来、当事者と異なるなりすましの畏れもある。紙媒体の署名押印と同様に扱う事の困難さと、電磁的記録が経済活動上必須になる事を鑑み、電子署名法に於いては、本人に拠るものである事、改竄が成されていない事を確認可能とする要件を満たす電子署名が、紙媒体への署名押印同様、真正に電磁的記録が成立した旨を推定する効果を付与するとした(2条1項、3条)。

 現状の課題としては、電子署名にはやはり改竄やなりすましの畏れがあり、技術的安全性確保手段は必須である。加えて電子署名法対象の電磁的記録に於いては、当事者同士の契約書も含まれ、契約書作成に於ける当事者の電磁的記録、電子署名に対する信頼度が活用上必須である。電子署名法は主務大臣認定”認定認証業務”を営む企業について規定が成され、一定の信頼性のある電子署名認証について定めている(2条3項)。
 又、同法は飽く迄、民間に於ける私文書の真正な成立が法的に認め易くなる機能止まりであり、住民票の写し、戸籍謄本、抄本などを真偽確認書類としており、住所氏名年齢以外の情報は、確認に保証は無い。翻ってビジネスに於ける企業の一定の権限を有す個人の調印、専門資格者に拠る個人の代理などが多々行われ、組織や資格などに於ける属性の真偽の保証は同法範囲外なのである。