法務FinTechとマイナンバー法

 FinTechに纏わる法律について、続いてはマイナンバー法について記していく。

 マイナンバー制度とは社会保障、災害対策、そして税に於ける行政分野について、横断的共通番号として個人特定を迅速的確に行うもの。
 行政効率向上、国民利便性向上、公正公平な税・社会保障実現に向け、2016年1月、行政手続に於ける特定の個人を識別する為の番号の利用等に関する法律、所謂マイナンバー法が施行された次第ではあるが、当ホームページを御覧の貴兄方にとっては、最早便・不便は聞かずもがな煩わしい以外の何物でも無かろう。とは言え、それでは身も蓋も無いので、詳細を述べていく。

 マイナンバー利用に拠り、行政機関保有の多岐に亘る個人情報を集約出来る訳だが、利用に際しプライバシー侵害など適正な取扱いを要する。マイナンバー、特定個人情報の取り扱いが安全適正に行われる様、個人情報保護法に特例として紐付けされているのである。
 年金、雇用保険、医療保険などの社会保障手続、確定申告などの税手続の際、書類記載せねばならない。

業務の種類
預金 障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度(マル優)
勤労者財産形成貯蓄非課税制度
金融
商品
証券取引
特定口座の開設
少額投資非課税制度(NISA)
FX取引
保険 生命保険
損害保険
その他 国外送金
信託取引
教育資金等贈与非課税制度

 マイナンバー取得に際し本人確認手続きが規定されているが、FinTechに於いては非対面取引が考えられ、マイナンバー取得フロー検討を要する。
 当然の事乍ら、マイナンバー活用はFinTech企業に於いても有用であり、注目も高まりを見せている。PFM(個人資産管理)経営会計サポートサービス提供に際し、税務申告を始め、金融サービス上の書類請求簡素化、非対面取引に於ける個人認証手段に活用出来る。

 此処からは規制の概要について述べる。そもそもマイナンバーは住民票を基とする12桁の我が国一人一人に割り当てられた番号であるが、このマイナンバーが含まれる個人情報を特定個人情報といい、例を挙げるに金融機関作成支払調書に顧客のマイナンバーと住所、氏名が記載される。要は是一体が特定個人情報となり、マイナンバー法に拠る所の管理を要するのである。
 では、個人情報と特定個人情報を比して差異は如何様であるか。特定個人情報に於いては個人情報以上に厳格な規定があり、法令に拠り定められる手続き以外利用不可能。特定個人情報収集、保管はおろか、顧客にマイナンバー提供を要求すら禁じられている。以下に差異を纏める。

マイナンバー法 個人情報保護法
適用
対象
個人番号・特定個人情報を取扱う全ての者 個人情報取扱事業者
取得 法令で定められた手続で利用する場合以外には取得不可。取得に当たって本人確認が必要になる 利用目的を通知等して取得すれば、基本的に取得自体に制限はない(センシティブ情報を除く)
利用 法令で利用可能な範囲が限定 本人に通知等した利用目的の範囲であれば利用可能
第三者
提供
法令で第三者に提供できる場合が限定 本人の同意があれば提供可能
保管 利用が終了した場合、破棄が必要 保管期間に制限なし

 個人情報取扱業者が個人情報を取得した際、提供した本人に個人情報利用目的通知を要する。同じくして、マイナンバーも個人情報である以上は、マイナンバー取得に際し、個人情報保護法に準拠せねばならず、顧客に対し、マイナンバー利用目的通知を要するのである。
 マイナンバー提供を受ける際は、本人確認が義務付けられ、マイナンバー法に於ける本人確認は番号、身元を其々確認せねばならない。番号確認に於いては、マイナンバーの成否、身元確認に於いては、正真正銘持ち主である事を確認する。要確認書類は法令に拠り定められており、下記にて簡単に記す。

番号確認 番号確認
個人番号カード:番号確認と身元確認を1枚で行うことができる。
通知カード 運転免許証、パスポートなど写真付身分証明書を1種類
個人番号が記載された住民票の写し等
(①②が困難である場合)特定個人情報ファイルの確認等 (①②が困難である場合)
健康保険証、年金手帳等写真無し身分証明書2種類

 税法上の観点より、顧客に対しマイナンバー告知が義務付けされている場合に関し、金融機関等がマイナンバー法と別に確認書類提示を要せねばならない事例がある。

 前述の通り、マイナンバー利用範囲は法令に拠り限定され、社会保障、災害対策そして税の三行政分野事務利用のみしか認められておらず、日本再興戦略に公表されている政府の将来的な展望としてマイナンバー利用範囲拡大、手続きに於ける時間、手間、コスト削減、加えて国民利便性向上など、制度改革推進に資する旨を伝えている。
 又、証券取引、国外送金等取引を行う金融機関などに於いては、取引開始時点でマイナンバー取得を要するが、取得に際し法令上本人確認をせねばならず、又、マイナンバー取得後、特定個人情報以外の個人情報以上の厳格管理を要する。故に少額投資関連サービスなどに於いては顧客から身分証明書などを要求する手続き、取得後に於けるマイナンバー管理負担などは喫緊の課題であろう。

 最後に、、、。2015年9月マイナンバー法改正につき、2018年目途として預金口座へのマイナンバー付番が予定されており、付番したマイナンバーは、金融機関破綻の際の自己資産保全預貯金額合算利用が予定されている。
 その他、国税及び地方税税務調査、生活保護などの社会保障資力調査などに限定されている。此処では預金保険機構をマイナンバー法上の利用事務実施者としている。尚、預貯金口座へのマイナンバー付番は飽く迄任意であり、義務では無い事だけ付け加えておく。