税務国外送金等調書法における調書

 国外送金等調書法についての続きである。此の節では、表題にもある国外送金等調書について記す。
 告知書提出を受けた金融機関は其の顧客(公共法人等を除く)が該当金融機関営業所を通じ成される100万円を超す国外送金等に係る為替取引を行う際、財務省令で定められる事項を記載した調書(以下国外送金等調書)を、為替取引を行った日として、財務省令で定める日の属する日の翌月未日迄に当該為替取引に係る金融機関営業所等所在地所轄税務署長に提出せねばならない。

 尚、外国通貨が表示された金額で成された国外送金等が100万円を超すか否かの判断に於いて、邦貨換算の際、財務省令で定める外国為替相場を用いるものとされる(令8条2項、規則9条1項)。
 因みに、財務省令で定める外国為替相場について、国外送金等が本邦通貨と外国通貨との売買を伴う際、其の売買に適用された対顧客売買相場を用いる。其以外の場合、外国為替の取引等に関する省令35条2号規定の相場、所謂報告省令レートを用いるとされる(1998(平成10年)2月26日大蔵省告示49号参照)。

 国外送金等調書記載事項について、財務省令について定める事項を下記に纏めた。

一 国外送金の場合

その国外送金をした顧客の氏名又は名称及び個人番号又は法人番号(個人番号又は法人番号を有しない者にあっては、氏名又は名称)
その国外送金をした顧客の住所等
その国外送金の金額
その国外送金した年月日
告知書に記載されている送金原因 ※1
その国外送金の相手方の氏名又は名称
その国外送金に係る為替取引に係る令7条2項に規定する銀行業を営む者の国外にある営業所又は事業所の名称 ※2
その国外送金に係る相手国名
その国外送金に係る為替取引が取次ぎ等に基づいて行われる場合には、当該取次ぎ等に係る金融機関の営業所等の名称
告知書に記載されている納税管理人の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)
告知書に記載されている法人課税信託の名称及び法人課税信託の信託された受託営業所の所在地
その他参考となるべき事項

二 国外からの送金等の受領の場合

その国外からの送金等の受領をした顧客の氏名又は名称及び個人番号又は法人番号
その国外からの送金等の受領をした顧客の住所等(国外からの送金等の受領がその者の本人口座においてされた場合には、住所又は当該本人口座が開設されている金融機関の営業所等の名称及び所在地並びに当該本人口座の種類及び番号)
その国外からの送金等の受領の金額
その国外からの送金等の受領をした年月日
その国外からの送金等の受領の相手方の氏名又は名称
国外からの送金等の受領に係る為替取引に係る令7条2項に規定する銀行業を営む者の国外にある営業所又は事務所の名称 ※3
その国外からの送金等の受領に係る相手国名
その国外からの送金等の受領に係る為替取引又は買い取りが取次ぎ等に基づいて行われる場合には、当該取次ぎ等にかかる金融機関の営業所等の名称
告知書に記載されている納税管理人の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)
告知書に記載されている法人課税信託の名称及び法人課税信託の信託された受託営業所の所在地
その他参考となるべき事項

※1 送金原因について“記載に当たっては、国際収支項目番号を記載しても差し支えない”ものとされる(国外送金等調書の書式の備考欄参照)。
※2 国内から国外へ国外送金を行った際の国外銀行等営業所等の名称を指す。
※3 国内に於いて国外から送金等の受領を行った際の国外銀行等営業所等の名称を指す。

 先述の為替取引を行った日として財務省令で定める日についても下記表に纏めておく(規則8条)。

一 国外送金の場合

本人口座その他の預金若しくは貯金の口座又は勘定(以下この条において「本人口座等」という。)からの振替によりされる国外送金又は本人口座等からの預金又は貯金(「預金等」)の払出し又は勘定の残高の払戻しによりされる国外送金(当該預金等の払出し又は勘定の残高の払戻しの請求と当該国外送金の依頼とが同時に行われるものに限る。)で国外における当該国外送金の受領が金銭をもってされるものの場合 金融機関の営業所等の長が当該国外送金に係る金銭として当該本人口座等から預金等を払い出した日又は勘定の払い戻した日
イに掲げる国外送金以外の国外送金の場合 金融機関の営業所等の長がその顧客から当該国外送金に係る金銭を受領した日

二 国外からの送金等の受領の場合

本人口座等においてされる国外からの送金等の受領の場合 金融機関の営業所等の長が当該国外からの送金等の受領に係る金銭を当該本人口座に払い込んだ日
イに掲げる国外からの送金等の受領以外の国外からの送金等の受領の場合 金融機関の営業所の長が当該高額からの送金等の受領に係る金銭をその受取人に払い渡した日

 国外送金等告知書同様、国外送金等調書提出法についても割愛させて頂く。

 国外送金等調書法について、最後は国外証券移管等に係る告知書等について述べる。此の制度は金融商品取引業者等の顧客であり、其の有する有価証券の国内~国外証券口座への有価証券移管(以下国外証券移管)、国外~国内証券口座への有価証券移管(以下国外証券受入れ)の依頼者(別表法人等を除く)が、当該国外証券移管、国外証券受入れ(以下国外証券移管等)が確認済本人証券口座を通じ行われる場合を除き、其の国外証券移管等の依頼の際、

  • 告知書の当該金融商品取引業者等への提出
  • 確認書類、署名電子証明書提出、送信
  • 金融商品取引業者等に拠る確認

 是等を要する制度である。告知書提出対象行為としては、国外証券移管、国外証券受入れの依頼である。此処でいう有価証券とは、

  • 金融商品取引法2条1項規定の有価証券
  • 同条2項に拠り有価証券とみなされる権利
  • 所得税施行令例4条3号に掲げる権利

をいう(施行令3条の2)。

 因みに3番目の権利であるが、株主又は投資主(投資信託及び投資法人に関する法律2条16項規定の投資主をいう)となる権利、優先出資者(協同組織金融機関の優先出資に関する法律13条1項(優先出資者となる時期等)の優先出資者をいう)となる権利、特定社員(資産の流動化に関する法律2条5項規定の特定社員をいう)又は優先出資社員(同法26条規定の優先出資社員をいう)となる権利其の他法人の出資者となる権利である。
 国内証券口座とは、金融商品取引業者等営業所等に開設される有価証券振替口座等(社債、株式等の振替に関する法律に関する振替口座簿をいう)への記載、記録、保管の委託に係る口座をいう。
 国外証券口座とは、金融商品取引業者等営業所、事務所其の他是等に類するもの(国外にあるものに限る)に開設される国内証券口座に類する口座をいう。

 金融商品取引業者等とは、第一種金融取引業者、登録金融機関、投資信託委託会社(国外に於いて是等の者と同種業務を行う者を含む)をいう。
 特定移管、特定受入れ(合わせて国外証券移管等)に該当する際、告知書提出義務は課されない。以下詳細を纏める。

特定移管 その国外証券移管を依頼する者の本人証券口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、又は当該本人証券口座に保管の委託がされている有価証券についてされる国外証券移管
特定受入れ その国外証券受入れを依頼する者の本人証券口座に係る振替口座簿若しくは記録がされ、又は当該本人証券口座に保管の委託がされることとなる有価証券についてされる高額証券受入れ
本人証券口座 本人の名義で開設されている国内証券口座で、その国内証券口座を開設されている金融商品取引業者等の営業所等の長が、政令(施行令3条の3)で定めるところによりその本人の氏名又は名称、及び住所等※1並びに個人番号又は法人番号(ただし、個人番号又は法人番号を有しない者にあっては、氏名又は名称及び住所等)を確認しているものをいう。
政令(施行令3条の3)では、金融商品取引業者の営業所等の長が、当該営業所等に国内証券口座が開設される者(既に国内証口座が開設されている場合にあっては、当該国内証券口座が開設されている者)から提示又は送信を受けた確認書類又は署名用電子証明等(いずれも国外送金等の場合と同義)に記載又は記録がされた其の者の氏名又は名称、住所等及び個人番号又は法人番号と、当該国内証券口座の名義人とした者の氏名又は名称、住所等及び個人番号又は法人番号とを照合することにより確認されるものとされる※2

※1 住所等の定義は国外送金等告知書同様
※2 国外送金等の関係での本人口座の定義では、個人番号・法人番号を有しない場合、氏 名、名称、住所等の確認で事足りるとされる(法2条6号参照)が、本人証券口座に於いては、其の様な旨の規定は成されていない(法2条13号参照)。

 先述の別表法人等とは、公共法人等、外国の法令に準拠して当該国に於いて銀行業、金融商品取引法2条8項規定の金融商品取引業を行う法人である(令9条の2)。告知書の記載事項を表に記す(規則11条の3)。

国外証券移管等の依頼をする者の氏名又は名称、住所等及び個人番号又は法人番号(個人番号又は法人番号を有しない者にあたっては、氏名又は名称及び住所)
国外証券移管等の原因となる取引又は行為の内容
国外証券移管等の依頼をする者が国税通達法117条2項の規定による納税管理人の届出をしている場合には、その納税管理人の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)
国外証券移管等の依頼をする者が法人課税信託の受託者である場合(当該国外証券移管等が当該法人課税信託に係るものである場合に限る。)には、当該法人課税当該信託の名称及び当該法人課税信託の信託された受託営業所の所在地
その他参考となるべき事項

 告知書提出者は、提出先金融商品取引業者等営業所長に確認書類、署名電子証明署等(以下合わせて確認書類等)を提示、送信せねばならない(令9条の3第1項)。提示を受けた長は、告知書記載の氏名、名称、住所、個人番号、法人番号を当該確認書類等に拠り確認せねばならない。
 提出を受けた金融商品取引業者は、告知書記載の氏名、名称、住所、個人番号、法人番号が確認書類等に記載のものと同じか否かを確認せねばならない(令9条の4第1項)とされるが、個人番号、法人番号を有しない者に於いては確認不要である。営業所等長は、確認した際、提示を受けた確認書類の名称、署名電子証明書等の送信を受けた旨を記載しておかねばならない(令9条の4第3項)
 国外証券移管等をする者が財務省令(規則11条の2)で定めた者に該当する際、当該国外証券移管等の告知書提出を受ける金融商品取引業者営業所長等が当該国外証券移管等をする者の氏名、名称、住所、個人番号、法人番号を記載した帳簿書類(其の者から提出を受けた其の者の確認書類写しの添付があるもの、作成の際送信を受けた其の者の署名電子証明書等を併せ保存しているものに限る)を備えている時、当該告知書提出の際、移管等をする者は、長に対して例外的に確認書類提示、署名電子証明書等送信を要しない。
 只、告知書記載、帳簿書類記載其々の氏名、名称、住所、個人番号、法人番号が異なる場合は此の限りではない(令9条の3第2項)。財務省令(規則11条の2)で定める者を下記に纏めておく。

国外証券移管をする前に当該国外証券移管等に係る金融商品取引業者等の営業所等を通じてした他の国外証券移管等につき当該金融商品取引業者等の営業所等の長の同項の規定による確認を受けた者
①以外の者で告知書の提出を受ける金融商品取引業者等の営業所等の長の所得税法224条1項若しくは2項、224条の3第1項(同条4項において準用する場合を含む。)又は224条の4の規定による確認を受けた者
①又は②以外の者で、国内に住所を有する個人で、告知書の提出を受ける金融商品取引業者等の営業所等の長の所得税法10条5項(租税特別措置法4条2項において準用する場合を含む。)の規定による確認※1を受けた者

※1 所得税法10条5項の規定に拠る確認とは、非課税貯蓄申告書(特別非課税貯蓄申込書):限度額変更申告書(申込書)提出を受けた際の確認である。

 確認書類提出不要の場合、告知書提出した者が確認書類提示、署名電子証明書送信をしなかった時は、金融商品取引業者等営業所長は確認書類等の確認に代え、告知書記載、帳簿書類記載其々の氏名、名称、住所、個人番号、法人番号が同じか否かの確認をせねばならない(令9条の4第2項)。此の確認の際告知書に其の旨を記載しておかねばならない(9条の4第3項)。

 次に国外証券移管等調書について述べる。告知書提出を受けた金融商品取引業者は、顧客(別表法人等を除く)からの依頼に拠り、国外証券移管等を成した際、其の顧客の氏名、名称、住所、個人番号、法人番号。当該国外証券等をした有価証券の種類、銘柄其の他の財務省令で定める事項を記載した調書(以下国外証券移管等調書)を当該国外証券移管等をした日の属する月の翌月末日迄に、当該国外証券移管等を成した金融商品取引業者等営業所等の所在地所轄税務署長に提出せねばならない。国外証券移管等調書等記載事項を下記に纏めておく(規則11条の4)。

その国外証券移管等をした顧客の氏名又は名称及び個人番号又は法人番号(個人番号又は法人番号を有しない者にあっては、氏名又は名称)
その国外証券移管等をした顧客の住所等
その国外証券移管等をした有価証券の種類、銘柄及び数又は額面金額
その国外証券移管をした年月日
その国外証券移管等に係る告知書に記載されている国外証券移管等の原因となる取引又は行為の内容
その国外証券移管等に係る国外証券口座を開設された金融商品取引業者の営業所、事務所その他これらに類するものの氏名
⑥の国外証券口座を開設している者の氏名又は名称
この国外証券移管等に係る相手国名
その国外証券移管等に係る告知書に記載されている納税管理人の氏名及び住所(国内に住所がない場合には、居所)
その国外証券移管等に係る告知書に記載されている法人課税信託の名称及び法人課税信託の信託された受託営業所の所在地
その他参考となるべき事項

 尚、此の提出方法においても割愛させて頂く。