税務マネーロンダリング対策不備に伴う海外での処分事例

1.HSBC(港上海銀)
 平成24(2012)年7⽉16⽇、⽶上院国⼟安全保障政府問題委員会がHSBCの過去10年間の資⾦洗浄問題を335ページに及ぶ詳細な報告書にて公表。公聴会で経営陣が厳しく追求された。
 同年7⽉17⽇開催の公聴会でHSBC⽶国法⼈ドナーCEO他経営幹部が出席。マネーロンダリング防⽌体制不備を謝罪。英HSBCホールディングスでコンプライアンス責任者を務めるデーヴィッドバグリーが引責辞任表明。
 後にメキシコ現地法⼈が、疑わしい取引についての報告遅延等を理由に、メキシコ監督局に制裁⾦2750万ドル(約22億円)⽀払った事を公表。英HSBCは制裁⾦に対する引当⾦として7億ドル(560億円)計上したと同年7⽉30⽇に公表。
 国当局との交渉の末、同年12⽉、約19億ドル(約1520億円)の罰⾦(過去最⾼額)を⽀払うことで合意。

※ なお、上記報告書にHBUSが⽇本の⼤⼿地銀が⾏っていた取引が取り上げられており、その内容は⽇本の地銀に中古⾞取引の代⾦名⽬で持ち込まれた⾼額なドル建てトラベラーズチェックの決済をHBUSに依頼していたというもの。この取引を通じ、ロシアの犯罪組織の資⾦が⽶国の⾦融システムに持ち込まれた可能性を指摘。⽇本の地銀のマネーロンダリング防⽌への取り組みに疑問。

2.SCB(スタンダード・チャータード銀)
 平成24年(2012年)8⽉6⽇⽶ニューヨーク州⾦融サービス局により、SCBが過去10年近く、約6万件2500億ドルに上るイランへの送⾦取引を隠蔽。数億ドルの⼿数料を得ていたと指摘する27ページの⽂章公開。
 SCBはイラン向け送⾦取引を意図的に隠蔽したとして同⽂書にて断罪。⽶国法令違反によりニューヨーク州における営業免許失効の可能性を指摘。
 当局の公表による報道により、SCBの株価は暴落。時価総額の25%を失う。同⾏は和解⾦として3億4000万ドル(約272億円)を⽀払い、マネーロンダリングリスクコントロール監視体制をニューヨーク⽀店に導⼊。銀⾏免許剥奪を免れた。
 同年12⽉。追加で3億2700万ドル(約298億円)の罰⾦を⽀払うことで連邦当局と同意。

3.BNPパリバ銀
 2004年~2012年にかけて、⽶国国際緊急経済権限法(IEEPA)、対敵通商法(TWEA)違反と知りながら、主として原油関連取引に絡む制裁対象国(スーダン・イラン・キューバ)の顧客との間でドル送⾦を⼿掛け、その際取引隠蔽のために取引相⼿国情報を書類から削除していた。
 中東・アフリカ・欧州の銀⾏網や⽶JPモルダンチェースを利⽤する等して⽀払いを迂回し、制裁国や⾃⾏が関与している事実を隠蔽。経営幹部からもこれらを黙認していた。
 平成12(2009)年、同⾏違法⾏為について⽶国当局へ匿名の告発があり、当局は調査実施を通告。同⾏の調査に対する⾮協⼒的な態度や、違法⾏為の停⽌として不適切な対処をとった事への制裁⾦として、史上最⾼額となる89億7000万ドルで⽶当局と合意、幹部13名解雇。平成27(2015)年から1年間、ドル決済業務⼀部縮⼩などに応じ、銀⾏免許剥奪は免れた。