法務資金決済法における資金移動業

 送金に関わる資金決済法について述べていく。

 資金移動業が2010年の規制緩和に拠り解禁され、営業時間や送金手数料など、利便性の高い海外送金サービスの提供が可能となった。
 米国PayPal、英国Transfer Wise等、海外でのサービスをグローバル展開する送金事業者の参入や、日本の送金事業者が海外の銀行及び送金事業者と提携し送金サービスを提供するなど、様々なケースがある。全世界に送金サービスを提供する事業者には、中国、韓国、フィリピン、ベトナム、インドネシア、バングラディシュ、ネパール、ペルーといった特定の国を地域とする事業者ある。

 海外送金サービスの例をあげると、外国在住駐在員や留学生に日本から送金するための送金カード、逆に日本で就労する労働者が母国に送金する為のカード、または旅行者対象のトラベルプリペイドカードなどを予め日本では発行し、海外のATMで24時間365日いつでも外貨引き出しが可能なサービスである。
 国内送金に於いては、インターネット・モバイル端末での決済送金を簡単且つ便利に行えるサービスがあり、LINEのLINE Pay、ヤフー、楽天、NTT、スマートトレード等資金移動業サービスの一貫として電子マネーを発行している。

 規制の概要であるが、先ず為替取引とみなされている送金。

 為替取引は従来、銀行法に拠り銀行のみに認められた独占業務であったが、2010年4月1日施行の資金決済法に拠って銀行以外(ここでは資金移動業者)の者も少額取引(100万円相当額以下)に限り為替取引を行える様になった。
 ICT関連技術発達で銀行以外の事業者が適切な為替取引提供を行える環境が整い、インターネット取引の普及に拠り、個人利用の少額決済が可能な安価且つ便利な為替取引提供ニーズ、営業時間・送金手数料など利便性の高いサービスのニーズが背景として考えられる。

 資金移動業が営む事ができる為替取引は銀行などと同じで買い手から売り手に送金する送金為替である順為替、売り手から買い手に代金取り立てを行う取り立て為替である逆為替、そして内国外国為替、円建て外貨為替の他、国際送金為替や国際郵便小切手等のマネーオーダーに拠る送金も含む。
 業態も問われることは無く、専業、営業店、インターネットやモバイル端末、バーチャルアカウント等を利用した送金も可能となっている。しかし銀行の為替取引とは異なり、先述した様に100万円相当額以下の資金移動業取引に限定されている(資金決済法 2条2項、施行令2条)。

 俗に言う収納代行、代金引換サービスの様な商品、サービスの対価の支払いに関し、商品、サービスの提供側(債権者)の依頼を受けた事業者が利用者から対価の支払を受け、受け取った資金を債権者に引き渡すサービスがあるが、現在のところ為替取引の定義に該当せずという見解が有力となっている。

 資金移動業の定義に続いて、登録要件について。

 予め財務局長、財務支局長の登録が必要(資金決済法37条)であり登録受理後資金決済法の適用を受ける(資金決済法37条)のであり、登録受理後、資金決済法の適用を受ける(資金決済法2条3項)。

 資金移動業者の財産的基礎や体制整備といった規模やサービス様態についても、資金決済法 40条1項3号に見られる、業務を適正かつ確実に遂行する為に必要と認められる財産的基礎を有していることや資金決済法40条1項4号に見られる、業務を適正且つ確実に遂行する体制を整備する事などの要件を満たしていなければならない。
 財産的要件として、事業者が提供するサービスの規模、様態に応じ、資金保全履行義務があり、システム投資等を行うだけの資金を有せねばならない。最低要補償額は1,000万円となっている。
 資金移動業者登録が出来るのは、株式会社、外国資金移動業者(外国の法令の規定に拠り、その国で資金移動業登録と同類の登録を受け、為替取引を業として営む者)に限られる(資金決済法 40条1項1号)。

 因みに外国資金移動業者は国内に法人を設立せずとも国内に営業所と代表者を置けば資金移動業登録に事足りる(資金決済法40条1項1号、同2号)。

 続いて行動規制について。

 資金移動業者の業務範囲に特に制約は無く為替取引以外の業務を兼業できる。利用者保護の観点から送金途上資金と同額以上の資産保全義務が課せられ、具体的に言うと為替取引に関し、利用者に対して負う未達債務の額を各営業日毎に計算。これに還付手続きに関する費用を加えた額(要履行補償額)について、内閣府令で定めた期間(一週間)毎の最高額を求める。
 そしてこの要供給額以上の額に相当する履行保証金を、主な事業所、営業所の最寄りの供託所に供託せねばならない(資金決済法43条)この資産保全義務は一定要件を満たす銀行等、その他政令で定めるものとの間で履行保証金保全契約を結ぶ方法や信託会社等との間で履行保証金信託契約を結び、信託を行う方法に拠っても履行可能である(資金決済法44条45条)。
 小規模な資金移動業者の債務履行確保の為、前述した通り最低要履行補償額は政令で1,000万円と定めている(資金決済法43条2項、資金決済法施行令14条)資金移動業者が万一破綻する様なことがあれば、利用者はこれら資金保全に拠り履行保証金から還付を受けられる(資金決済法59条)。

 資金移動業者が講ぜねばならない措置に、情報安全管理措置(資金決済法49条)委託先に対する指導、その他委託業務の適正且つ確実な遂行確保(資金決済法5条)、金融ADR機関(指定紛争解決機関)との契約締結義務(資金決済法5条の2)など。
 利用者保護に関する措置を挙げると、銀行等が行う為替取引との誤認防止の説明、資金移動業に関する契約の内、重要な内容に於ける情報提供、受取証書交付、詐欺行為などの犯罪が行われた際の為替取引停止措置、社内規則整備などが求められる(資金移動業者に関する内閣府令28〜32条)。

 又、資金移動業者は、犯罪収益移転防止法上の特定事業者と指定されている為、取引時確認義務、確認記録及び取引記録の作成、保存義務、疑わしい取引の当局への報告、届出義務、体制整備義務が課せられている国外送金を行う際には、外為法や国外送金等調書法を遵守せねばならない。

 規制の概要の最後は、監督規定である財務局長、財務支局長は資金移動業者に対し、報告徴求、立入検査、業務改善命令、業務停止命令、登録取り消しを行う権限を有している(資金決済法54〜56条)資金移動業者は帳簿書類を作成保存し、事業年度毎の業務報告書の作成、これらを内閣総理大臣に提出せねばならない。
 又、資金保全方法に応じて定められた期間毎に、未達債務額及び履行保証金供託、履行保証金保全契約または履行保証金信託契約に関する報告書を作成し、財務局長、財務支局長に提出せねばならない(資金決済法52〜53条、資金移動業者に関する内閣府令33〜35条)。