法務前払式支払手段発行者の行為規制

 続いて行為規制について述べていく。

 前払式支払手段発行者が電子マネー等の前払式支払手段を発行する際、発行する当該前払式支払手段もしくはそれと一体となるものに法定事項を表示するか、または電磁的方法により、法定事項を情報として提供せねばならない(資金決済法13条)。
 この法定事項とは、ここでいえば氏名、名称、称号、支払可能金額上限額、有効期限や期限、その他苦情相談窓口としての営業所、事務所の所在地および連絡先などである。

 前払式支払手段発行者は、基準日における未使用残高が1,000万円を超える場合、その未使用残高の1/2以上の相当額となる発行保証金を主となる営業所、事務所の最寄りの供託所へ供託せねばならない(資金決済法14条)。
 この資産保全義務は、供託代わりに一定要件を満たす銀行等の間で発行保証金契約もしくは信託会社等の間で発行保証金信託契約を締結するなどして履行できる(資金決済法31条)。

 前払式支払手段発行業者が前払式手段支払手段保有者に払い戻しをする行為は業務廃止などの場合を除いて原則禁止している(資金決済法20条)。
これには銀行法、出資法が大きく関係する。出資法は銀行業を営むもの以外の事業者が、いわゆる”預り金”行為を禁止している為であり、銀行法が原則禁止する”為替取引”に該当するおそれもある。
 前払式支払手段は、発行者が加盟店に提供する商品やサービスの対価が弁済に当てられるが、これを超過し自由に払い戻しが行われることが容認されれば、元本返還が約束された”預り金”に当たり、それが送金手段として利用できるようになってしまうのである。
 ただし、利用者側のやむを得ぬ事情や前払支払手段の利用が著しく困難である場合に払い戻しを禁止すると、利用者利便もしくは利用者保護に反するゆえ、払戻金額が小学である場合などにおいては、例外として払い戻し可能である(資金決済法20条2項、前払式支払手段に関する内閣府令42条)。