税務国外送金等調書法における告知書

 此処からは国外送金等調書法について述べる。

 以前FinTechに纏わる法律として軽く触れたが、1998年の外為法改正に拠り、内外の資金移動に対応している同法であるが、犯罪収益移転防止法上の取引時確認とも関連し得る事から、改めて詳細を記していく。

 内国税の適正な課税の確保を図る為の国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外送金等調書法)に於いては、

    1. 国外送金等の告知書・調書制度(3条 4条)
    2. 国外証券移管等の告知書・調書制度(4条の2、3)
    3. 国外財産調書制度(2012(平成24)年改正に拠り新設、5条)
    4. 財産債務調書制度(2015(平成27)年改正に拠り新設、6条の2)

について定められ、適切な税収確保、脱税防止などを狙っている。
 1に於いては銀行、資金移動業者であり、国外為替取引等業務を行う企業にとって問題であろう。
 2に於いては金融商品取引業者等であり、国外証券移管(証券口座間(国内から国外)の有価証券移管)、国外証券受入れ(証券口座間(国外から国内)の有価証券移管)を取り扱う際問題となる。拠って犯収法との絡みも踏まえ、1、2について記していく事にする。

 先ずは1の国外送金等の告知書・調書制度であるが、告知書、調書を二節に分けて述べていく。国外送金等の告知書制度に於いては、国外送金等を行う金融機関の顧客(公共法人等該当顧客は除く)が、金融機関を通じた(此処が我が国マネロン対策不備なのだ)国外送金等を行う際、

    1. 顧客に拠る告知書の金融機関への提出
    2. 顧客に拠る確認書類、署名用電子証明書等の金融機関に対する提出、送信
    3. 金融機関に拠る 2.の確認

を要する制度である。只、当該顧客の国外送金等調書法に基づいて確認済み預貯金口座、戡定(本人口座)を通じた特定送金、特定受領(是等併せて国外送金等)を行う際に於いての1.〜3.の手続きは不要。
 告知書提出を要するのは、国外送金等を行う金融機関の顧客であり、前述通り公共法人等は其の範疇に非ず。告知書提出の流れに入る前に国外送金等調書法に於いて、其々国外送金等、金融機関、公共法人等についての意義から記していく。
 国外送金等であるが、国外送金、国外からの送金の受領、小切手、為替手形などの買取に関する対価の受領をいう。100万円以下の取引の様な取引金額の限定は無い。

国外送金 1の類型は、金融機関が行う為替取引によってされる国内から国外へ向けた支払である。ただし、輸出貨物に係る荷為替手形・船荷証券・航空運送状・これらに準ずる書類によるもの(「輸出貨物に係る荷為替手形等」という)に基づく取り立てによるものは除かれる。
国外送金等の受領 国外からの送金の受領 2の類型は、(i)金融機関が行う為替取引によってされる国外から国内に受けた支払の受領、及び、(ii)銀行業を営む者(廃止前の国際郵便振替規則に規定する交換国における郵便貯金銀行に相当する者を含む)※1 の国外にある営業所又は事務所に開設されている預金の口座 ※2 で国外からの送金等の受領をする者が名義人となっているものからの預金※3 の払出しによりされる国外からの送金等の受領で、国内に設置された自動預払機その他これに準ずる機械を通じてされるものである。なお、輸出貨物に係る荷為替手形等に基づく取り立てによるものは除かれている。
支払地が海外の小切手、為替手形等の金融機関への売却に伴う国内での対価の受領 3の類型は、支払地が海外の小切手、為替手形その他これらに準ずるものの金融機関による買取りに係る国内での対価の受領である。
金融機関の顧客は、金融機関による③の行為により、海外で小切手等の支払を受ける予定であったものが、国内で小切手等の対価を受領することができることとなるため、国外から国内への送金の受領と同様に、告知書の対象とされている。
なお、輸出貨物に係る荷為替手形等に基づく取立てによるものは除かれている。

※1 公職選挙郵便規則等の一部を改正する省令(2007(平成19)年総務省令113号)附則5条3項の規定に拠り、なお其の効力を有するものとされる同令附則2条規定に拠る廃止前の国際郵便為替規則(2003(平成15)年総務省令10号)1条1号規定の交換国、公職選挙郵便規則等の一部を改正する省令附則7条3項規定に拠り、なお其の効力を有するものとされる同令附則2条規定に拠る廃止前の国際郵便振替規則(2003(平成15)年総務省令12号”旧国際郵便振替規則”)1条1号規定の交換国に於ける我が国の郵便貯金銀行(郵政民営化法94条規定の郵便貯金銀行を指す)に相当する者を含む(規則7条1号)。

※2 交換国に於いて開設されている旧国際郵便振替規則2条2項規定の振替口座相当の口座を含む(規則7条2項)。

※3 振替口座相当の口座の預り金を含む(規則7条3項)。

 国外送金、国外からの送金の受領、小切手、為替手形などの買取に関する対価の受領の何れにせよ、金融機関が関与せぬ形態は含んでおらず、金融機関が関与せぬ場合は当然乍ら何れも該当しない事になる。

 国外送金等調書法に於いて告知書対象である国外送金等は何れも国内金融機関営業所、事務所(以下営業所等)を通じて行うもので、此処でいう所の金融機関とは、下記の何れかである。

銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、及び、信用協同組合
会員の預金又は定期積金の受入れの事業を行う中小企業等協同組合法上の協同組合連合会
業として貯金の受入れをすることができる農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会
日本銀行、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫、株式会社日本政策投資銀行及び株式会社国際協力銀行
資金移動業者

 公共法人等とは下記の何れかに該当する者をいう(国外送金等調書法施行令4条1項参照)。尚、是等に該当せし金融機関顧客は国外送金等行為の際、告知書提出義務は課されない。

公共法人 公共法人とは、法人税法別表1に記載される公共法人と定義されている。具体的には、沖縄振興開発金融公庫、株式会社国際協力銀行、株式会社日本政策金融公庫、港務局、国立大学法人、社会保険診療報酬支払基金、水害予防組合、水害予防組合連合、大学共同利用機関法人、地方公共団体、地方公共団体金融機構、地方公共団体情報システム機構、地方住宅供給公社、地方道路公社、地方独立行政法人、独立行政法人、土地開発公社、土地改良区、土地改良区連合、土地区画整理組合、日本下水道事業団、日本司法支援センター、日本中央競馬会、日本年金機構、日本放送協会が該当する。
特別の法律により設立された法人 特別の法律により設立された法人とは、当該特別の法律において、その法人の名称が定められ、かつ、当該名称として用いられた文字を他の者の名称の文字として用いてはならない旨の定めのあるものに限られている。例えば、日本証券業協会、日本貸金業協会、生命保険契約者保護機構、健康保険組合連合会等がこれに該当する。
銀行等 銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合、信用事業を行う中小企業等協同組合法上の協同組合連合会、並びに、業として貯金の受け入れをすることができる農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会である。
資金移動業者 資金決済法2条2項の資金移動業者である。
第一種金融商品取引業者 金融商品取引法28条1項の第一種金融商品取引業者である。ただし、同法第29条の4の2第9項に規定する第一種少額電子募集取扱業者を除く。
外国政府、外国の地方公共団体、外国の中央銀行 外国政府、外国の地方公共団体、、外国の中央銀行である。
我が国が加盟している国際機関 我が国が加盟している国際機関とは、国際連合等がこれに該当する。

 続いて此処では、特定送金、特定受領、本人口座等に於ける意義を記す。金融機関顧客の国外送金等行為に於いて、特定送金、特定受領については、例外として告知書提出、確認不要である。要は確認済み本人口座に於ける国外送金、国外からの送金の受領に対する告知書提出不要だという事だ。
 特定送金とは、国外送金を行う者の本人口座からの振替に拠り成される国際送金(3条2項1号)、国外送金を行う者の本人口座からの預貯金払出し又は戡定の残高払戻しに拠り成される国外送金(当該預金等払出し又は戡定の残高払戻し請求と当該国送金依頼が同時に行われるものに限る)であり、国外に於ける当該国外送金の受領を、金銭を以って成すもの(令7条1項)。
 特定受領とは、国外からの送金等の受領をする者の本人口座に於いて成される国外からの送金等の受領(3条2項2号)、銀行業を営む者(日本と国際郵便為替を交換する他国郵便貯金銀行相当の者を含む)の国外にある営業所、事務所に設けられている預金口座(振替口座相当の口座を含む)で、国外からの送金等の受領をする者が名義人となっている者からの預金(振替口座相当の口座を含む)の払出しに拠り成される国外からの送金等の受領で、国内に設置された自動預け払機其の他是に準ずる機械を通じて成されるもの。
 本人口座とは金融機関営業所等に本人名義により開設されている預貯金口座又は戡定で、当該金融機関営業所長が本人より提示を受けた国外送金等調書法に基づく確認書類、署名用電子証明書等に記載されたその者の氏名、名称、住所等、個人番号・法人番号と其の口座、戡定の名義人とされる者の氏名、名称、住所等、個人番号・法人番号を照合、確認しているもの。

 此処で一つ注意を要するのが、国外送金等調書法に於けるマイナンバー法との関係である。犯収法絡みとは異なり、マイナンバー法に基づく個人・法人双方番号徴求確認をしていなければ基本、本人口座と認可されない。只、番号を有せぬ者が顧客であれば抑確認不可能であるが故、氏名、名称、住所等確認で事足りる。又、国外送金等調書法に於いて、犯収法と異なり、他の金融機関に拠る確認結果依拠規定は無い。
 其の他関連用語の定義も掘り下げてしまおう。上述・本人口座に於いて住所等、確認書類、署名用電子証明書なる用語を用いたが、是等も記していく。
 住所等、金融機関が国外送金等調書法に基づき、顧客について確認すべき顧客 ”住所等”とは、国内に住所を有する顧客に於いては其の者の住所で、又、国内に住所を有さぬ顧客に於いては、下記参照願いたい(規則3条1項各号)。

1-1 国内に住所を有しないが、居所を有する個人の場合 その個人の居住地(規則3条1項1号)
1-2 国内に住所・居所を有せず、日本に恒久的施設を有する非居住者たる個人の場合 その非居住者の国内における恒久的施設(これらが二以上あるときは、そのうち主たるもの)の所在地(同項2号)
1-3 国内に住所・居所を有せず、日本に恒久的施設を有しない非居住者たる個人の場合 その非居住者の国外にある住所地又は居所地(同項3号)
2-1 日本に恒久的施設(PE)を有する外国法人の場合 当該外国法人の恒久的施設(これらが二以上あるときはそのうち主たるものとし、当該外国法人が会社法933条1項又は民法37条1項の規定による登記をしているときは当該登記をしている恒久的施設とする)の所在地(同項4号)
2-2 日本に恒久的施設を有しない外国法人の場合 当該外国法人の国外にある本店又は主たる事務所の所在地(同項5号)

 次に確認書類とは、規則4条1項、3項に於いて定められるものを指すが、法人課税信託受託者が顧客の場合、下記表に記す書類及び法人課税信託約款其の他是に類する書類(法人課税信託名称及び当該法人課税信託に於ける信託されし受託営業所所在地の記載があるものに限る)をいう(規則4条5項)。

1-1国内に居所を有する個人の場合氏名及び住所の記載がある次の書類のいずれからである。

(a) 個人番号カード
(b) マイナンバー法上の通知カード及び住所等確認書類
(c) 住民票の写し又は住民票の記載事項証明書で、当該個人の個人番号の記載があるもの(提示日前6カ月以内に作成されたものに限る)

1-2国内に住所を有しない個人の場合(1-3の場合を除く)住所等確認書類(個人の氏名及び規則3条1項1号から3号の場所 ※1 の記載があるものに限る)と、国外転出者に対して還付された通知カード又は個人番号カード ※21-3非居住者たる個人で短期在留者(90日以内の在留許可期間)の場合旅券又は乗員手帳で金融機関の営業所等の長に提示する日において有効なもの(当該非居住者の氏名の記載のあるものに限る)。2-1法人番号を有する法人次の(a)〜(c)のいずれかの書類である。

(a) 法人の名称、本店又は主たる事務所の所在地、及び法人番号の記載がある法人番号通知書(提示日前6カ月以内に作成されたものに限る)
(b) (a)以外の法人番号通知書と法人確認書類
(c) 法人番号印刷書類(提示日前6カ月以内に作成されたものに限る)と法人確認書類2-2法人番号を有しない法人法人確認書類

※1 規則3条1項1号に定める場所については、”住所等”表参照願いたし。
※2 国外転出者については、返納された旨の記載が成される。

 上記表内に住所等確認書類とあるが、是は下記に記す書類(当該個人の住所、氏名又、規則3条1項1号〜3号迄に規定される場所の記載のあるものに限る)を意味する(規則4条2項)。

  1. 住民票の写し又は住民票の記載事項証明書(提示前6カ月内に作成されたものに限る)
  2. 戸籍の附票の写し又は印鑑証明書(提示前6カ月内に作成されたものに限る)
  3. 国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証又は私立学校教職員共済制度の加入者証
  4. 国民年金手帳、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障害者手帳、療養手帳、精神障害者保健福祉手帳又は戦傷病者手帳
  5. 道路交通法 運転免許証(提示日において有効なものに限る)又は運転経歴証明書
  6. 旅券で金融機関の営業所等の長に提示する日において有効なもの
  7. 在留カード又は特別永住者証明書で、提示日において有効なもの
  8. 国税若しくは地方税の領収証書、納税証明書又は社会保険料の領収証書(領収日付の押印又は発行年月日の記載のあるもので、その日が提示日前6カ月内のものに限る)
  9. 1から8のほか、官公署から発行され、又は発給された書類その他これらに類するもの(提示日前6カ月内に作成されたもの(有効期間又は有効期限のあるものにあっては、提示日において有効なもの)に限る)

 同じく表内に法人確認書類とあるが、是は下記①〜③法人区分の応じた書類を意味する。

1.法人の場合
 次のイ又はロの何れかに掲げる書類(法人の名称及び住所の記載のあるものに限る)

当該内国法人の設立の登記に係る登記事項証明書(当該内国法人が設立の登記をしていないときは、当該内国法人を所轄する行政機関の長の当該内国法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地を証する書類)若しくはこれらの書類の写し、印鑑証明書又は法令の規定に基づき官公署から送付を受けた許可、認可若しくは承認に係る書類(提示前6カ月以内のものに限る)
国税若しくは地方税の領収証書、納税証明書又は社会保険料の領収証書(領収日付の押印又は発行年月日の記載のあるもので、押印日又は発行年月日が提示日前6カ月内のものに限る)

2.人格のない社団等(国内に主たる事務所を有するものに限る)の場合
 次のイ又はロのいずれかに掲げる書類(法人の名称及び住所の記載のあるものに限る)

人格のない社団等の定款、寄付行為、規則又は規約(名称及び主たる事務所の所在地に関する事項の定めがあるものに限る)の写しで、その代表者又は管理人の当該人格のない社団等のものである旨を証する記載のあるもの
①ロに掲げる書類

3.外国法人の場合
 次のイからハのいずれかに掲げる書類(法人の名称及び規則3条1項4号又は5号の場所の記載のあるものに限る)

当該外国法人の会社法933条1項若しくは民法37条1項の規定による登記に係る登記事項証明書又は印鑑証明書(提示日前6カ月内の交付のものに限る)
①ロに掲げる書類
官公署から発行され、又は発給された書類その他これらに類するもの(提示日前6カ月以内に作成されたもの(有効期間又は有効期限のあるものにあっては、金融機関の営業所等の長に提出する日において有効なもの)に限り、法人番号通知書、法人番号印刷書類並びにイ及びロに掲げる書類を除く)

 続いて署名用電子証明書であるが、下記①〜③の何れかを指す(規則4条6項)。

公的個人認証法3条1項に規定する署名用電子証明書
地方公共団体情報システム機構により電子署名が行われた署名用電子証明書に係る者の個人番号及び個人識別事項に係る情報で、マイナンバー法施行規則4条1号の規定により総務大臣が定めるもの
署名用電子証明書により確認される電子署名が行われた情報で、当該署名用電子証明書に係る者の氏名、住所及び個人番号に係るもの

 本来此処から告知書の提出手順や方法めいた事柄を書き記すことになるのだが、我々KPT Alliance groupは、ドバイに本店を構える企業である。アラブ諸国の企業には抑決算が無く、帳簿書類を残すという概念も無い。拠って割愛させて頂く。本来確認書類の件も記す必要は無かったのだが、其処はご愛嬌。
 此の節の〆として、2016(平成28)年1月1日、国外送金等調書法が改正された。個人番号・法人番号のある者は其の確認も要される事に留意されたし。例を挙げるに、金融機関に於いて、犯収法に基づき取引時確認をしている預貯金口座若しくは資金移動業者等アカウントであれ、其の個人番号・法人番号が確認未了であれば本人口座該当せずとなり、告知書・確認資料提出、金融機関に拠る確認を省く事が出来ない事に留意。
 只、是に関した経過措置がある。2015(平成27)年12月31日段階での国外送金等調書法に基づく確認済本人口座に於いては、2016(平成28)年1月1日以降従前事例に拠るものとされ、其の代わりに(マイナンバー法施行に伴う整備法25条1項)、2017(平成29)年1月1日以降初めての国外送金等を行う日(同日に於いて個人番号を有しない者は、同日以降個人番号が初告知された日の属する月の翌月末日)迄に於いて、整備政令36条1項にて定める所に拠り、個人番号カード等確認書類提示、又署名用電子証明書等送信し、個人番号・法人番号確認を受けねばならないとされる(マイナンバー法施行に伴う整備法25条2項)。