税務外為法における主な用語

 決して横道に逸れて道草を喰う訳では無いが、此処では、外為法上に於ける主な用語について詳細を記しておこうと思う。
 外為法は、告示多用、通達行政の名残りもあり、逐条解説、解釈通達併せて読み紐解かねばならない難解さと複雑さがある。其を踏まえて一つ一つ書き記して行く。

 先ずは居住者、非居住者について。”居住者”とは、本邦内に住所、居所を有する自然人、本邦内に主たる事務所を有する法人を言う(6条1項5号)。支店等(非居住者の本邦内の支店、出張所其の他事務所)は、其の主たる事務所が外国にあっても居住者とされる(6条1項5号)。逆に我が国法人の海外支店等は非居住者扱いである。
 此処でいう”住所”とは、各人生活の本拠(民法21条)で、”居所”とは、一定期間継続して居住する場所をいう(外為法逐条解説106頁)。拠って”非居住者”とは、居住者以外の自然人、法人をいう(6条1項6号)。
 居住者、非居住者判定に困難を来す際は、財務大臣の定める所に拠る(6条2項)。判定に於ける具体的基準は、解釈通達、昭和55年11月29日付け蔵国第4672号にて定められ、又、外為省令3条に於いて、居住者への該否につき、財務大臣認定を得る事を可能とする旨が定められている。
 自然人、、、。おそらく法律云々でしか使わぬ言葉であろうが、解釈通達に拠る所、日本国籍の者が”居住者”となるのだが、

    1. 外国にある事務所に勤務目的で出国、滞在する場合
    2. 2年以上外国滞在する目的で出国、滞在する場合
    3. 1,2の他、本邦出国の後、2年以上滞在するに至った場合
    4. 1~3に於いて、一時帰国し、日本滞在期間6月未満

の場合は、非居住者として扱われる事になる。海外にある日本大使館・総領事館等の在外公館に勤務目的で出国、滞在する場合は此の限りでは無い。
一方外国籍の者の場合はというと、”非居住者”となるが、

    1. 本邦内にある事務所に勤務する場合
    2. 本邦入国後6月以上経過滞在に至った場合

は”居住者”とされる。外国政府、国際機関公務を帯びている者、外交官、領事館及び是等随員、使用人(外国に於いて任命、雇用されし者に限る)に於いては此の限りでは無い。
 上記に於いて居住者、非居住者判定された者と同居、其の生計に於いて専ら居住者、非居住者に負担されし家族は、其々に従う事とされる。
 我が国に於いては、米軍関係(米国軍構成員、軍属、其の家族、軍人用販売機関等)、国連軍関係の者に於いては、非居住者として扱われる。
 法人等(法人、団体、機関其の他是に準ずるもの)としては、是また解釈通達に拠る所、法人等居住性は、本邦内に主たる事務所の所在有無が判定となるが、法人等支店、出張所其の他事務所の居住性は、

(a) 本邦の法人等の外国にある支店、出張所その他の事務所は、非居住者として取り扱う。
(b) 外国の法人等の本邦にある支店、出張所その他事務所は、居住者として取り扱う
(c) 本邦の在外公館は、居住者として取り扱う
(d) 本邦にある外国政府の公館(使節団を含む)及び本邦にある国際機関は、非居住者として取り扱う

と判断される他、米国軍、国連機関に於いては非居住者扱いとなる。

 日本法人の国内本店、支店等と其の海外支店等間取引について、本来であれば同一法人間取引であり、対内的取引である。しかし解釈通達5-0-3に於いては、本邦法人の海外支店等と当該法人の本邦にある本店、支店等との間の行為は、非居住者と居住者との間の行為として外国為替法令の規定の適用があるものとされており、外為法との関係では、別法人扱いを受ける。

 次に支払手段である。6条1項7号、令2条1項に於いて、下記に該当するものをいう。

銀行券、政府紙幣、小額紙幣及び硬貨
小切手(旅行小切手[TC]を含む)、為替手形、郵便為替及び信用状
電子マネー[又は仮想通貨]であって法律で定めるもの[=現在は該当なし]
約束手形
イからニに掲げるもののいずれかに類するものであって、支払のために使用することができるもの

 上記ハの電子マネーであるが、資金決済法上の前払式支払手段として発行される電子マネー等は、換金出来ぬ様制限されている故、外為法上支払手段と指定されていない。近い未来に仮想通貨・電子マネーなどが貨幣の性質を持つと評価される日が来るであろうから何とも言えぬが。
 因みに上記ホであるが、外為法逐条解説に於いて、”銀行が国際間の送金や決済に用いている郵便付替(メールトランスファー)[郵便送金]、電子付替(テレグラフィックトランスファー)などが此処でいう支払指図に該当するとされている”と記載(124頁)している。

 続いて、対外支払手段。外国通貨其の他通貨単位如何に関わらず、外国通貨を以って表示、又、外国に於いて支払に使用可能な支払手段をいう(6条1項8号)。円は含まず。典型的に外国通貨が該当(記念、収集などに用される通貨でも強制通用力があれば対外支払手段となるが、加工(キーホルダーやネックレスなど)されたものは貨物とされる)するが、外貨表示された為替手形、信用状(レターオブクレジット)、小切手なども是に当たる。

 続いて証券。券面発行如何問わず、公社債、株式、出資持ち分、債権、国庫証券、抵当証券、利潤証券、利札、配当金受領証、利札引換券、国外CD、コマーシャルペーパーなど、是等に関し、権利を付与せし証書をいう。
 因みに上記国外CD(譲渡性預金証書とでも換言すれば良いか)とは、払い戻しについて期限が定められた預金で、譲渡禁止特約の無いものをいい、指名債権であるものは除く(令2条)。外為法逐条解説に於いては、海外定期預金証書(Time Certificate of Deposit)が想定。金商法施行令1条1号に於いても有価証券と指定されている。

 更に続いて貴金属。金地金、金合金地金、流通していない金貨其の他金を主な材料とする物(6条1項10号)。此処でいう”金地金、金合金地金”とは、金を含有する地金(含有であり、配合に非らず)であり、形状が粒であれ、欠片であれ、塊であれ、金含有量が金重量の2/100以上のものを指す(解釈通達6-1-10)。又、”金を主な材料とする物”とは、金地金を使用した物品であり、含有する金の重量、価格が物品重量、FOB価格1/2以上のものを指す(解釈通達6-1-10)。犯収法に於ける其とは異なり、白金、銀は貨物に当たる。
 其の貨物について。所謂動産であるが、貴金属、支払手段、証券其の他債権を化体する証書以外を含まず。貨物の輸出入とはまた別に支払手段、証券の輸出入、貴金属の輸出入に於いて別規制が設けられており、”貨物”の定義から是等が外されている。

 あと少し続く。次は為替取引である。最高裁2001(平成13)年3月12日第3小法廷に於いて決定の”顧客から隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動する事を内容とする依頼を受けて、是を引き受ける事、又は、是を引き受けて遂行する事”を指すと解される。
 為替取引には、順、逆、其々の為替両方を含む。又、内外双方の為替を含む概念。というのも、外為法に於いては、主に”外国為替”対象と解されるが、外為法逐条解説に於いては、”国を異にする隔地者間の決済は資金移動”と定義する上で外為法18条に於ける特定為替取引本人確認との関係で、経済制裁対象国に住所、居所を有する個人が本邦内銀行に預金口座を有し、居住者が当該口座宛振込を行う際も当該規定に拠る規制対象に含む必要があるとし、同条は内国為替に及んでいる事を説いている(逐条解説218頁)。外国為替円決済制度等の用語法にある様に、外国為替の定義につき、近時上記逐条解説に於ける定義より広範解釈されている模様で用語法は如何様でもないとされる。
 勿論円建て外貨建ては問わない。顧客が解説せし銀行預金口座からの送金、銀行口座に於いて現金を預けての送金、又、荷為替手形を含む為替手形、送金小切手などに拠る送金も是に含まれる。

 最後に銀行等とは下記に該当する金融機関を指す。

銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合及び信用協会組合連合会
事業として貯金又は定期積立をすることができる農業共同組合、農業協同組合連合会、漁業共同組合、漁業共同組合連合会、水産加工業共同組合及び水産加工業共同組合連合会
日本銀行、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫、株式会社日本政策投資銀行及び株式会社国際協力銀行