税務外為法の域外適応

 引き続き外国為替及び外国貿易法(以下外為法)について記す。

 今回は域外適用。外為法に於ける適用範囲は属地主義であり、我が国で行われた行為に適用され、海外で行われたものに於いては域外適用問題が生じる故、法の適用は無いとの考えを基本とする(外為法逐条解説94頁参照)が、我が国法人、我が国に居住する個人が、海外で行ったものに於いては、属人主義の考えに拠り、基本的に法適用するというのが、外為法5条。
 即ち、本邦内に主な事務所を有する法人、我が国法人の役職員、代理人が、外国に於ける其の法人財産、業務についての行為も適用される。勿論本邦内に住所を有する個人、其の代理人、使用人其の他従業者の外国に於ける当該国個人財産、業務についての行為も同様である。

 外為法5条に拠り、解釈通達5-1-0に於いては、”本邦法人の外国にある支店、工場其の他の事務所について、法の規定及び法の規定に基づく命令の規定(以下外国為替法令の規定)の適用があるものとする”と定めている。
 此処でいう”法人の財産又は業務に影響する場合”とは、広範な法人財産、業務に係る行為が含まれると解され、”役職員がもっぱら自己の為に行った行為” ”凡そ財産や業務に関係無い経済行為”に当たる場合を除いて、是に該当する(外為法逐条解説95頁)。又、検査マニュアルに於いても、”邦銀海外支店に於いても、顧客から依頼のあった支払等については、銀行等の確認義務に関する規定が適用される”と記され、事実2012(平成24)年6月29日公表の外国為替検査不備事項指摘事例集に、邦銀海外支店に於いて、イラン関連仲介貿易代金支払に係る仕向送金の際、資金使途規制抵触の可否に対する慎重なる確認が成されていなかったとし、検査の際の指摘事例が多々報告されている。

 因みに日銀ウェブサイトに於いて、”日本法人の海外支店が、本社の資金で且つ本社の指示の下に外国法人の株式を購入した場合は、外国為替法令の適用を受けます”とあり、本店より海外支店への指示の有無、本支店間資産運用の有無、資産分別管理等の本支店間の独立性が考慮され得ると示唆している様にも読める。
 其の様な解釈には合理性がある様にも思うが、逐条解説等の記載は其のような趣旨とは読み難く、財務省の見解は逐条解説通りという事なので、日銀のウェブサイトの記載を反対解釈して良いという事では無さそうである。と中央経済社”諸説 犯罪収益移転防止法・外為法第2版”280頁注釈392に記されているのだが、抑である。
 現在対外取引が大幅自由化され、合理性もへったくれもあるのかと言いたい。如何なる場所に於いて海外支店の居住者、非居住者が判定されるのか、見極めも困難で複雑極まりない。見直しが要され様が所詮縦割り行政の我が国省庁には、其こそ困難を極めるのであろう。
 我が国縦割り行政に溜め息が止まりそうもない小生なので、此処で其の序でに主務大臣への許可だの報告だの、主務大臣がどの大臣であるかで、手続き、提出書式、適用省令、告示など外為法の条文に於いて、要する条文が多々あるので簡単に纏めておく。

【主務大臣/所管大臣】
支払等 (i)貨物の輸出入
外国為替令第六条第五項の
済産業大臣が支払等がされても
特に支障がないと認めて指定する
貨物の輸出又は輸入外国為替及び外国貿易法第十六条
第一項の規定に基づく経済産業大臣
の許可を受けなければならない支払等
経済産業大臣
上記以外 財務大臣
本人確認/適法性確認 財務大臣
貴金属等の輸出入 財務大臣
資本取引(特定資本取引を除く) 財務大臣
特定資本取引 経済産業大臣
技術提供・仲介貿易 経済産業大臣
鉱山物の加工等 支払等の場合と同様
その他役務取引 経済産業大臣
対内直接投資等・
技術輸入
財務大臣及び事業所管大臣(投資先の事業が基準)
貨物の輸出入 経済産業大臣
外国為替業務に係る報告 財務大臣
統計のための報告 各事業分野を所管する大臣

 この節の最後に法律、政令、省令など法令について、政府運営の”法令データ提供システム”のホームページについて記す。外為法に於いて散々っぱら通達を多用するにも拘らず、法令データ提供システムに通達などを記載しない為体。不便此の上無い。然も経済産業省につけ財務省につけ、データが古く参考にならない。