決済出資法解説

本解説はKPT Alliance Groupに関与(接続)する全ての株主がIPXPを利用するにあたり、国内外の全ての関連法に準拠してビジネスを行えるように作成したものです。

総論

出資法とは略称であり、正式名称は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取り締まりに関する法律」です。
出資法の立法趣旨は、大衆が出資したり金銭を預ける事に伴って被る損害を未然に防止するとともに、借り手の弱い立場を利用して暴利をむさぼる高利貸しや、金銭貸借の媒介に際して高額の手数料を取得する事を禁じることによって大衆を保護し、他方では浮き貸し等を禁止することによって金融機関の財産ひいては預金者を保護していると解されています。

出資法の内容

1. 出資法の主な内容

⑴ 出資法は次のような内容を定めています。
  • 不特定多数の者に対する、元本を保証した出資の受入れの禁止
  • 特定金融機関以外の、業としての預り金を禁止(他の法律に特別の規定が有る場合を除く)
  • 浮き貸しの禁止
  • ・ 金銭の貸借の媒介を行う者は、その金銭額の5%を越える手数料を受け取ることを禁止(紹介屋等の禁止)
  • ・ 金融業者は年20%超、金融業者以外は年109.5%(うるう年は109.8%とし、1日あたり0.3%)超の金利契約禁止
  • 金利や元本解釈、短期貸付期間や複利計算
  • 利息制限法と同様みなし利息
  • 罰則
⑵ 出資法は、次のような禁止及び制限に対する違反を内容とする犯罪類型から成り立っています。

第一類型として、出資金の受入れの制限(第1条)及び預り金の禁止(第2条)
第二類型として、「金融機関の役職員による浮き貸し等の禁止(第3条)
第三類型として、高金利の処罰(第5条)及び金銭貸借の媒介手数料の制限(第4条)に対する違反

2. 出資法の(実質的)意義

出資法は、いわゆる特別刑法です。
また、出資法は、金融業者等の違法な経済活動から経済的弱者である一般国民を保護する趣旨で制定された法律であり、経済的弱者の保護、経済秩序の維持等を刑罰を持って図る事を目的とした経済取締法規です。

出資法の各論

1. 出資金の受入れの制限

第1条

何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日払戻として出資金の全額若しくはこれを超える金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入れをしてはならない。

第8条(第一項、2項は省略)

次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  • 第1条、第2条1項、第3条又は第4条1項若しくは第2項の違反をした者
  • いかなる名義を用いてするかを問わず、またいかなる方法をもってするかを問わず、前号に揚げる禁止を免れる行為をした者
第9条

法人(法人でない社団または財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他従業者が法人又は人の業務又は財産に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑をその人に対して各本条の罰金刑を科する。

  1. ① 第5条第1項若しくは第2項、第5条の2第1項、第5条の3又は前条第1項3000万円以下の罰金刑
  2. ② 第5条第3項又は前条第2項1億円以下の罰金刑
  3. ③ 前条第3項(第3条)に係る部分を除く。)同項の罰金刑

*前項の規定により第5条第1項から第3項まで、第5条の2第1項、第5条の3又は前条第1項若しくは第2項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。

*第1項の規定により法人でない社団又は財団を処罰する場合においては、その代表者または管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表するほか、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する規定を準用する。

2. 預り金の禁止

第2条

業として預り金をするにつき他の法律に規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない

A. 前項の「預り金」とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受入れであって、次に揚げるものをいう。

  1. ① 預金、貯金又は定期積立の受入れ
  2. ② 社債、借入金その他いかなる名義をもってするかを問わず、前号に揚げるものと同様の経済的性質を有するもの。暗号資産(金融派生商品)を預かる場合も適用されると解釈するが、金商法の行為規制に該当する。

3. その他の罰則

第8条(1項、2項は省略)

B. 次の各号の何れかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  1. ① 第2条1項、第3条又は第4条1項若しくは第2項の違反をした者
  2. いかなる名義をもってするかと問わず、またいかなる方法をもってするかを問わず、前号に揚げる禁止を免れる行為をした者

C. 前項の規定中第1条及び第3項に係る部分は、刑法に正条がある場合は適用しない。

第9条

法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者が法人又は人の業務又は財産に関して次の各号に揚げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑をその人に対して各本条の罰金刑を科する。

  1. ① 第5条第1項若しくは第2項、第5条の2第1項、第5条の3又は前条第1項3000万円以下の罰金刑
  2. ② 第5条第3項又は前条第2項1億円以下の罰金刑
  3. ③ 前条第3項(第3条に係る部分を除く)同項の罰金刑

D. 前項の規定により第5条1項から第3項まで、第5条の2第1項、第5条の3又は前条第1項若しくは第2項の違反行為につき法人または人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの期間は、これらの規定の罪についての時効期間による。

E. 第1項の規定により法人でない社団又は財団を処罰する場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表するほか、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

出資法の立法趣旨

1. 出資法1条

⑴ 出資法1条の立法趣旨

一般大衆が不測の財産的損害を被ることを早期に防止する目的で、あたかも出資金が帰ってくるような誤解を招く誇大広告的方法による出資金の受入れを禁止する為に設けられた規定と解釈します。本規定は、保全経済会事件を契機に定められたものです。

⑵ 出資法1条の構成要件
ア. 行為者

本条は「何人も」と定められており、行為の主体は限定されていません。
したがって、貸金業者に関わらず本条に該当します。
また、出資法9条で両罰規定が定められています。

イ. 出資金

出資金とは一般の共同事業のために拠出される金銭(株式の引き受け等)であって、その目的たる事業の成功を図るために用いられるものをいいます。
なお、2条では、預り金について定められていますが、預り金との根本的な差異は、前者は元本の返還が保証されないのに対して、後者それが保証される点にあります。
もっとも、問題となる事案では、資金提供者は元本の返還及び利益配当を期待しつつ金銭を拠出し、それを受け入れる側も、元本の返還ないし利益の配当が確実であるかのような表現を用いて金銭を受け入れる事である。

ウ. 不特定且つ多数の者

出資金の受入れの相手方は「不特定且つ多数の者」です。
したがって、特定の者(株主)からの出資受け入れや不特定だが少数の者からの受入れは、本条違反になりません。

エ. 出資の払戻しの表示行為

① 本条で禁止されている行為は、出資金の受入れに際して事業の成功、不成功を問わず、確定的に出資した元本又はそれを上回る利益配当を約束する行為です。
出資金という本質と相いれない内容を示す事を禁止する趣旨です。
すなわち、出資する判断を誤らせるような広告等の表現(インターネット広告)を用いて出資金の受入れをしてはならないという内容の規制です。

② 明示的になされても、暗黙のうちになされても本条に該当します。
配当名義で実質的に出資金の払い戻しを約束しているような場合も該当します。

③ 本条の「払戻し」とは、民法上の組合員の脱退の際の持分の払い戻し(民法681条)や匿名組合契約終了の際の返還(商法542条)、残余財産の分配や株式の売却(第三者譲渡)もこれに含まれます。

⑶ 既遂時期

本罪は、出資金を「受け入れ」た時に既遂となります。未遂処罰はありません。したがって、不特定且つ多数の者に対し、出資金の全額以上の払戻しがある旨を表示しただけでは本罪は成立しません。しかし、一人でも出資金の受入れるに至れば、その時点で本罪は既遂となります。

⑷ 罪数

一連の同旨の宣伝によって、複数の者から出資金を受け入れた場合は、併合罪ではなく、包括一罪となります。
これは出資金という概念が不特定多数の者からの受入れを予定している概念であり、一連の同旨の宣伝によるかぎり同一の共同事業に関して受け入れられる出資金とみることができる。

⑸ 詐欺罪との関係

本条に該当する出資金の受入れが同時に詐欺罪を構成する場合には、詐欺罪のみが成立します。(出資金8条4項)

2. 出資法2条

⑴ 出資法2条の立法趣旨

本条も1条と同様、一般大衆の財産を保護する事を第一次目的とし、第2次的には社会の信用制度ないし経済秩序を維持する事を目的として制定されたものと解釈します。

⑵ 出資法2条の構成要件
ア. 行為者

出資法2条の1項は、「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない」と規定しています。すなわち、他の法律(銀行法等)によって預り金をすることを認められている者以外は「何人も」預り金をしてはならないと規定しています。

イ. 「業として」の意義

反復継続の意思をもって預り金をすることをいいます。
必ずしも営利の目的があることは本罪の要件ではありません。つまり、同等の活動(預り金)を繰り返し行うことに違法性があります。

ウ. 「預り金」の意義

出資法2条2項で「前項の「預り金」とは、不特定且つ多数の者からの金銭の受入で、預金、貯金又は定期積金の受入及び、借入金その他なんらの名義をもってするを問わず、これらと同様の経済的性質を有するものをいう」と定義規定が定められていますが、以下より詳細を述べます。

① 「不特定且つ多数の者」について

出資法の趣旨からしますと一般大衆を指し、個人的なつながりのないある程度以上の複数の者をいいます。
一般大衆を相手方としていれば、その中にたまたま少数の親族等を含んでいても、これらの者を除外すべきではありません。
最高裁昭和36年4月26日は「2条2項にいわゆる「不特定且つ多数の者」とは、一般大衆を指称するものであり、そして同条は所定の行為をしてはならない旨規定しているのであるから、たまたまその中に少数の親族を含んでいるからといって、あえてこれを除外するべきものではないと解するのが相当である」と判示しています。
不特定多数の者から多数回にわたり、預り金を受け入れた場合は包括一罪になります。

② 「前号に揚げるものと同様の経済的性質を有するもの」について

「前号」では「預金、貯金又は定期積金の受入」が規定されています。
「預金」とは銀行における預金等一般をいいます。「貯金」とは郵便局、各種協同組合等における「貯金」をいいます。
「定期積金」とは、期限を定めて一定金額の給付をなすことを約し、定期又は一定の期間内において数回に金銭を受け入れることをいいます。
このようなことからすると、「前号に揚げるものと同様の経済的性質を有する者」とは、元本の返還を約する金銭の受入で、価値ないし価額の保管をもって主として預け人の便宜のために行われるものをいいます。
すなわち、元本ないしそれ以上の金額が保証され、金銭がそれを提供した者の利便のために保管されるものをいいます。

③ 「社債、借入金その他何らの名義をもってするを問わず」について

「社債」は一般大衆から資金を募集する目的をもって、集団的且つ大量的に負担する債務であり、法的には借入金であって、「預り金」とは言えません。
しかし、貸金業者が一面において社債発行による金銭の受入れをなし、他面において金銭の貸付け業を行うとき、実質的にみれば貸金業者の預り金をなし、金銭を貸し付ける資金として貸金業を営むのと異ならないことから、これを禁止する必要があります
また、借入金は、「預り金」とは法的にも、経済的にも異なるものではありますが、「借入金」を用いて実質的に「預り金」と異ならない金銭の受入れが多く、これを禁止する必要があります
なお、出資法は2条2項で「社債、借入金その他何らの名義をもってするかを問わず」と規定するばかりでなく、8条3項2号で「いかなる名義をもってするかを問わず」と規定しています。

⑶ 詐欺罪との関係

不特定多数の者から、詐欺的手段によって、業として預り金を受け入れると、これは刑法上の詐欺罪(刑法246条1項)に該当すると同時に出資法2条にも該当します。
そこで、両者の関係をどのようにみるかが問題となり、学説上争いがあります。
第一の見解は、刑法の詐欺罪は、個人的法益としての財産を侵害する犯罪であるのに対し、出資法2条違反の罪は、社会的法益としての一般大衆の財産に対して抽象的危険をもたらす犯罪と解され、したがって、両罪は法益が異なるので、観念的競合の関係に立つと解します

第二の見解は、出資法2条の保護法益が社会的法益であるといっても、その侵害は、終局的には個々の財産を侵害する危険に還元できるから、詐欺的手段によって金員を受け取った場合、詐欺罪によって当該金員について侵害およびその危険はすべて評価し尽くされると言うべきであって、両者は法条競合の関係に立ち、出資法2条違反の罪は詐欺罪によって吸収されると解しています。