その他国税犯則調査手続 第二章

第二章 犯則事件の調査

1.概要

(1)意義

犯則事件調査とは、犯則事件の証拠収集し、犯則事実の有無と犯則行為者を確定させる為の手続で、告発、通告処分を終極の目的として成すものをいう。

イ.通則法第7章の2に規定する質問検査権に基づく調査との違い

通則法第11章に規定する犯則事件調査(犯則調査)と通則法第7章の2に規定する質問検査権に基づく調査(税務調査)とは、その目的、正確に差異がある。

質問検査権に基づく調査は、各税法の定める国税の納付、割賦、徴収が適正に成される様、納税義務者などに対し、質問、検査などを行うものであり、行政手続である。
これに対し犯則事件調査は、国税についての犯則があると認められる場合に告発、通告処分を終極目的として犯則事件証拠発見、収集する為に行うものであり、形式的に行政手続であるが、実質的に刑事手続に近い性格を有するものである。

ロ.犯則税目による違い

通則法第11章に規定する犯則事件調査も、間接国税に関する犯則事件(申告納税方式による間接国税に関する犯則事件を除く)調査と、間接国税以外の国税に関する犯則事件(申告納税方式による間接国税に関する犯則事件を含む)調査とでは、その性格を異にする。
犯則事件の有無と犯則嫌疑行為者を確定させる為行う点は同じだが、前者は原則的に通告処分する為の準備として行われ、後者は通告処分制度が存在せず、告発を終極目的として行われる。
又間接国税に関する犯則事件には、許可状によらぬ強制処分(通135)を認め、間接国税以外の国税に関する犯則事件には、これを認めないなど、規定上でも異なる。

(2)犯則事件調査の開始と終了

犯則事件調査は、当該職員が何らかの資料により犯則が存在する事の嫌疑を抱くに至った時開始され、調査の端緒となるべき事実は、課税調査中の犯則事件探知、犯則事件調査中の他事件探知、司法警察職員、検察官等からの通報、連絡、第三者の密告、投書等の部外情報、新聞、雑誌等の報道、放送、風説その他千差万別であるが、調査着手に当たっての判断は決して恣意的であってはならない。

通則法第11章には、刑訴法189条2項の「司法警察職員は、犯罪があると思料する時は、犯人及び証拠を捜査するものとする」という様な規定は設けられていないが、当該職員は国税に関する犯則事件調査を司る部課に所属し、且つその所属長から通則法第11章に定められた権限行使を命ぜられた職員であるから、当該職員が合理的証拠により犯則があると嫌疑に至った場合は、調査を行うと解すべきである。
そして調査の結果犯則ありと思料する時は、告発手続をせねばならない(通155)のであり、調査は告発を目標として成されるものであるから、調査は告発(間接国税に関する犯則事件(申告納税方式による間接国税に関する犯則事件は除く)においては通告処分も含む)迄の間行える。
尚犯則ありと思料するに至らなかった場合、調査終了処分を行う迄の間、調査継続という事になる。

(3)犯則事件調査方法
イ.任意調査と強制調査

犯則事件調査手段には、任意調査と強制調査があり、任意調査は相手方の承諾を得て行われる質問、検査、領置、照会の方法により行われ、強制調査は相手方の承諾の有無関係無く、強制的に臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えの方法により行われる。

ロ.調査における制約

調査手段である質問、検査、領置、照会、臨検、捜索、差押えは、国民会社生活に重大な影響を及ぼすものであり、通則法第11章において、当該職員に対し、これら権限行使につき種々制限、条件、手続などを定める事により人権保障と調査厳正を期するとしている。
その反面、適正な調査進行を図る為、警察官の援助請求、出入り禁止権限などの規定を設け、調査万全を期している。
尚強制調査の場合には、原則として裁判官の許可を必要とする他、所有者等の立会いなど調査上制約も受けている。

(4)租税犯の証拠

刑訴法は「事実認定は証拠による」と規定している(刑訴317)。通則法第11章に規定する犯則事件調査手続は、証拠についての規定(証拠法)を特に設けていないが、刑訴法が証拠収集、調書作成などにつき厳格な規定を定めている所からみて、国税犯則調査手続においても、事実認定は証拠即ち、刑訴法にいう証拠相当によらねばならないのは当然である。
因みに上記証拠法とは、証拠及び証拠認定に関する法規の総称で、具体的には刑訴法第317条、328条に規定する「証拠」についての諸法条がそれであり、証拠の証拠能、証明力について定める。

2.任意調査

該当職員は、国税に関する犯則事件を調査する為必要がある場合は、質問、検査、領置、照会の任意調査を行える(通131)。

(1)質問

イ.質問とは、犯則嫌疑者又は参考人に対し、問を発し答弁を求める事をいう。

ロ.質問は、物的証拠収集だけでは犯則事実証明不十分である事から、これを補強する為犯則事件関係者に対し、犯則事件に関係のある事項について、問を発し答弁を求めるもので、人的証拠収集の一つの方法である。
当該職員は調査の為に必要な限り、どの様な事も質問出来るが、質問を受ける側が答弁するか否かは自由で、どの様な場合でも答弁を強制出来ず、憲法38条1項の供述拒否権保障が及ぶと解される。
又質問を受けた者が虚偽答弁をしても通則法第11章には制裁規定がない。
尚、刑訴法には供述拒否権告知義務に関する規定(刑訴198②)があるが、通則法第11章においては告知義務に関する規定が設けられていない。

ハ.通則法第7章の2に規定する質問検査権を有する該当職員が、同時に国税犯則調査手続上の当該職員である場合もあるが、質問検査権の質問権限と国税犯則調査手続上の質問権限は、厳格区別し行使されるべきである。それは質問検査権を有する当該職員の権限規定には
①犯罪捜査の為に認められたものではないと明記されている事(通74の8)
②不答弁、虚偽答弁について罰則が定められている事(通128)
からも明らかであり、従って質問検査権に基づく質問から、国税犯則調査手続上の質問に移行する場合は、質問の相手方にその旨を告げるべきである。

ニ.質問の相手方は、自然人に限ると解され、又質問方法について特別に制限を設けていない事から、犯則嫌疑者等が聴覚機能又は言語機能を欠いている者で口頭では質問の目的を達成できない場合には、筆談でも質問として有効であり、未成年者であっても、証言能力がある限りその答弁を証拠とする事が出来る。尚質問には立会人を要しない。

ホ.質問に対し場所の制限はなく、質問を受ける者の所在場所で行って構わない。
また質問を行う当該職員の勤務する国税局、税務署その他適当な場所に出頭を要請出来る(通131①)。

ヘ.質問は強制捜査の際の様な時刻制限(通148)が無い事から、質問を受ける者が応じるのであれば社会通念上妥協性を欠くと認められる時刻でなければ、夜間であれ行う事が出来る。

(2)検査

イ.検査とは犯則嫌疑者又は参考人が所持し、又は置き去った物件(帳簿、書類等)について、その存在、性質、形状、現象その他の状態を知覚、認識する事をいう。

ロ.検査は犯則事件に関係する物の存在、状況などについて、五官の作用により事実確認する事で、犯則事件調査の内でも特に重要である。
犯則嫌疑者又は参考人が所持し、又は置き去った物件であれば、調査上必要な限り動産、不動産区別なく、相手方の承諾を得てどの様なものであれ検査可能である。
因みに五官とは五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)を生ずる五つの感覚器官、即ち目、耳、鼻、舌、皮膚をいう。五官の作用はこれらの器官を働かせ者の存在、状態などを観察する事をいう。

ハ.置き去った物件とは犯則嫌疑者等が遺留した物で、例えば犯則嫌疑者等が捜索中に許可状効力の及ばない公道等の場に物件を投棄した場合や国税局で検査を行っている最中に物件を置いたまま立ち去った場合における当該物件について検査できる。
旧国犯法では置き去った物件の調査に関する明文規定を欠いていた為、検査、領置する事が出来ない状況となっていた事から、平成29年度税制改正において、国税犯則調査における任意調査に係る適時的確な証拠収集等を可能とする観点から、当該職員は国税に関する犯則事件調査に必要である時、犯則嫌疑者等が所持若しくは置き去った物件を検査し、又は任意に提出若しくは置き去った物件を領置出来るとされた(通131①)。

ニ.検査は相手方の承諾を得て行うもので、相手方の意に反して強行出来ない。

ホ.通則法第7章の2に規定される質問検査権限と国税犯則調査手続上の検査権限が、厳格に区別、行使されねばならぬ事は、質問の場合同様である。

(3)領置

イ.領置とは犯則嫌疑者又は参考人が任意提出し、又は置き去った物件の占有を取得する事をいう。
占有とは所有権有無関係なく、者を事実上支配する事をいう。

ロ.置き去った物件(遺留物)については検査同様領置出来る。

ハ.領置手続は当該職員が物件領置した場合は、領置場所において物件品名、数量、日時、場所、所持者指名、住所などを記載した領置目録を作成し、所有者、所持者、保管者に領置目録膳本を交付せねばならない(通143、通令47)。
ここでいう所有者とは物の所有権を有している者、所持者とは自己の為に現実に物を支配している者、保管者とは他人の為に物を支配している者をいう。

ニ.領置による占有の取得は飽く迄相手方が任意提出した物に限られるが、占有取得後は当該職員が必要なしと認める迄占有可能であり、提供者からの返還請求に応じる必要はないが、領置物件を留置する必要がなくなれば、速やかに還付せねばならない(通145①)。

ホ.当該職員が必要とあらば、領置物件の錠を外し、扉を開き、開封出来る(通137②)。

(4)照会

当該職員は官公署又は公私団体に照会して必要事項の報告を求める事が出来る(通131②)。
官公署とは国、地方公共団体の機関その他各種公の機関の包括的総称で、公私団体とは学校、商工会議所、取引所その他団体はもとより、広く公私の団体が含まれ、法人格の有無は問わない。

3.強制調査

当該職員は、国税に関する犯則事件調査の為必要である場合、裁判官の許可を受け、臨検、捜索、差押えの強制調査をする事が出来る(通132①)。

(1)臨検

イ.臨検とは犯罪嫌疑者又は参考人が所持する犯則事件に関係する帳簿、書類、その他物件又は住居その他の場所について、五官を働かせその存在、性質、形状、現象その他の状態を強制的調査する事で、刑訴法の検証(刑訴218①)と同様目的と解される。

ロ.犯則の行われた現場で、そこに置かれている帳簿、書類、犯則により産出又は取得された物件、犯則に使用された器具、機械などを確認し、調査上の知識経験など駆使し慎重な現場観察をし、犯則事実確認行為をするのが臨検であり、捜索の様に積極的証拠発見する為に行う調査手段とは異するものである。

ハ.当該職員は臨検にあたり、必要の際は錠を外し、扉を開き、開封する事が出来る(通137①)。

ニ.処分を受ける者の承認有無、口頭による拒絶、実力抗拒に拘らず、目的物に対し物理的力を加え行う事が出来る。

(2)捜索

イ.捜索とは犯則嫌疑者又は参考人の身体、所持する物件について、犯則事実証明する帳簿、書類その他の証拠を強制的に捜す事をいう。

ロ.捜索対象となる身体とは、身体そのものでなく捜索対象者の着衣、頭髪、握り拳などで、物件とは帳簿、書類など犯則事件証拠が隠されていると思われる物件だけでなく、人の住居、人が看守する邸宅、建造物その他の場所も含まれる(通142①参照)。

ハ.当該職員が人の住居、人の看守する邸宅、建造物その他の場所で捜索する場合は、捜索を受ける者の利益保護と手続公正を保障する為に、下記の様な立会人を要せねばならない(通142)。

(イ)捜索しようとする人の住居、人の看守する邸宅、建造物その他の場所の所有者、管理者又はこれらの者の使用人(常雇の者をいい、日雇人は除く)、同居の親族で成年に達している者(通142①)。ここでいう同居の親族とは6親等内の血族、配偶者(婚姻の届出をしていなくとも事実婚同様の関係にある者を含む)、3親等内の姻族であって(民725)、捜索を受ける者と起居を共にしている者をいう。

(ロ)(イ)に定められた者を立ち会わせる事が出来ない場合、捜索を行う場所を管轄する警察署の警察官又はその場所を管轄する地方公共団体職員を立ち会わせねばならない(通142②)。
A当該職員の強制調査の援助(通141)を行っている警察官は、この場合の立会人になる事は許されない。
立会人は、捜索を受ける側に立って当該職員の行う捜索の公正監視をするのであるが、援助警察官は当該職員の側に立つものであり、立会人として相応しくない。
B地方公共団体職員とは、知事、副知事、市町村長、副市長村長、会計管理者、出納員その他の会計職員、地方自治法172条2項の規定により知事又は市町村長から任命された職員をいう。

(ハ)女子の身体を捜索する場合、原則成年の女子を立ち会わせねばならない(通142④)。

ニ.当該職員は、捜索する場合に必要であれば錠を外し、扉を開き、開封などをする事が出来る(通137)。
この場合、必要限度にとどめ、これに代わる妥当な方法がある場合には、その妥当な方法によらねばならない。

(3)差押え

イ.差押えとは、犯則嫌疑者又は参考人が所有、占有する犯則事件証拠と思われる物件、没収品に該当する物品の占有を強制的取得する事で、相手方の承諾有無など関係なく行う事が出来る。

ロ.差押え対象物件は、犯則事実証明する物件、帳簿、書類などである。国税犯則調査手続上、差押え対象物件を制限する趣旨の規定がないが、他の法令上差押えを禁止されている物及び刑訴法の趣旨から差押えを制限されている場合がある。

(イ)公務員又は公務員であった者が保管、所持する物件で、本人又はその官公署がその職務上の秘密に関するものである事を申し出たものについては、刑訴法の趣旨からも、監督官庁の承諾がなければ差押さえられないと解す。
又監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒めないと解す(刑訴103、104、222①参照)。

(ロ)医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にあった者が、その業務上の委託を受け保管、所持する物件で、他人の秘密に関するものの差押えについて、刑訴法において、これらの者は差押えを拒否出来るので、本人の承諾があるなど一定の場合に限り、差押えが可能である。
当該職員がこれら物件の差押えにあたり、刑訴法105条(業務上の秘密と押収)の規定趣旨を尊重し慎重に行わねばならない(刑訴222①参照)。

ハ.当該職員は許可状交付を受け、犯則嫌疑者が発信人、受信人である郵便物、信書便物、電信についての書類で通信事務取扱者が保管、所持するもの(犯則嫌疑者が発信人、受信人でないものは、犯則事件に関係があると認められるに足る状況にあるものに限る)を差押え出来る(通133①②)。
その処分をした際、犯則事件調査が妨げられるおそれがある場合を除き、その旨を発信人、受信人に通知せねばならない(133③)。
旧国犯法では、通信事務取扱者の保管する郵便物等の差押えに係る規定がなく差押え出来ないと解されていたが、平成29年度税制改正において、適時的確な証拠収集を可能とする観点から、関税法第122条の規定に倣い、通信事務取扱者の保管する郵便物等の差押えに係る規定を整備すると共に当該差押えを行った場合、その発信人等に通知すべき規定が設けられた(通133)。

ニ.差押え手続は、概ね領置の際同様で差押え目録を作成し所有者等に目録膳本を交付せねばならない(通143、通令47)。
ホ.差押え効力は、当該職員がその支配の及ぶ範囲内にある犯則事件証拠と思われる物件について、その物件の所有者、所持者、立会人などに対し差し押さえた事を告知、又は表示した時に発生すると解され、対象物件占有取得後における差押え効力は、以後他人に代理占有させても何ら影響はない。又当該職員に占有移行した以上、たとえ自己の物であれ犯則嫌疑者等がこれを奪い返した場合は、窃盗罪、強盗罪などが成立する(刑235、236、242)。

ヘ.当該職員は差押えをする際必要であれば、錠を外し、扉を開け、開封などする事が出来る(137①)。
又当該職員は、必要であれば差押え物件の錠を外し、扉を開け、開封などする事が出来る(通137②)。
これらは差押え目的を達する為必要限度にとどめ、これに代わる妥当な方法があればそれによらねばならない。

4.電磁的記録に係る証拠収集手続

(1)導入経緯

国税犯則調査においては、経済活動ICT化進展の最中にあって、電磁的記録証拠収集手続を迅速整備する事が喫緊の課題とされていた。
他方刑訴法において記録命令付差押えなど電磁的記録収集手続について、平成23年改正により既に措置され、収集すべき証拠やその手法、解明すべき目的が共通する財政経済事犯等の捜査実務においても頻繁に用いられ、有効機能していた。
国税犯則調査は一種の行政手続であり、犯則嫌疑者の身柄を拘束する権限がないなど、刑訴法に基づく犯罪捜査と完全に同質なものでないが、実質的に租税犯捜査との間に差を設けるべき理由を見出し難いとして、平成29年度税制改正において、国税犯則調査手続について平成23年に改正された刑訴法を参考に電磁的記録証拠収集手続が整備された。

(2)記録命令付差押え

イ.当該職員は、裁判官が発する許可状により、電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じ、必要な電磁的記録を記録媒体に記録、印刷させた上で、その記録媒体を差押さえる事(記録命令付差押え)が出来る(通132①)。
旧国犯法では、電磁的記録保管者の記録媒体に記録されている電磁的記録を、その保管者から取得しようとする場合、必要な電磁的記録が記録されているサーバ等の特定が困難であり、その場合差押え許可状請求不可能になる他、サーバ等に複数の者の電磁的記録が記載されている場合には、そのサーバ等差押えによりその業務に著しい支障が生じるといった問題が生じる恐れがあった。
こうした状況を踏まえ、平成29年度税制改正において、適時的確な証拠収集を可能とする観点から、刑訴法第9条の2、第218条1項の規定に倣い、記録命令付差押えの規定が整備された。

(イ)記録命令付差押え対象は、許可状執行して被処分者が記録する時迄存在する電磁的記録である。

(ロ)記録命令付差押えにおいて命じる事が出来るのは、電磁的記録を記録媒体に記録させ、印刷させる事である。
ここでいう記録とはある記録媒体に記録されている電磁的記録をそのまま他の記録媒体に複写させる事や、暗号化された電磁的記録を復号化させた上、これを他の記録媒体に記録させる事を含む。

(ロ)記録命令付差押え手続は、概ね領置の場合同様で、記録的命令付差押え目録作成し、所有者等に目録膳本を交付せねばならない(通143、通令47)。

(3)接続サーバ保管のデータ等差押え

イ.当該職員は、差押える物件が電子計算機である時、その電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって
①その電子計算機で作成、変更した電磁的記録
②その電子計算機で変更、消去出来るとされる電磁的記録
を保管する為に使用されていると認めるに足る状況にあるものから、その電子計算機又は他の記録媒体に複写した上でその電子計算機又は他の記録媒体を差押え出来る(通132②)。
旧国犯法では、ネットワーク接続している外部サーバ等に記録された電磁的記録を取得する場合は、電子計算機自体を差押えるのみでは、その電磁的記録を取得出来ず、差押えを受ける者の任意協力前提に電磁的記録を他の記録媒体に複写する様求めていたが、相手方が非協力的な場合もあり、機能不全であった。
こうした状況を踏まえ、平成29年度税制改正において、適時的確な証拠収集を可能とする観点から、刑訴法第99条2項、218条2項の規定に倣い、接続サーバ保管自己作成データ等の差押えに係る規定が整備された。

ロ.対象記録媒体は、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であり、当該電子計算機で作成、変更をした若しくは変更、消去出来るとされている電磁的記録を保管する為に使用されていると認めるに足る状況にあるものをいい、これに相当するものとして、差押え対象たる電子計算機で作成したメールを保管する為のメールサーバ等が想定出来る。
ここでいう電子計算機とは自動的に計算やデータ処理を行う電子装置をいい、パソコン等の他、携帯電話等もこれに当たる。電気通信回線とは、この様な意味での電気通信を行う為設定される回線を指し、有線、無線を問わない。

ハ.接続サーバ保管自己作成データ等差押えを行う場合、当該職員が許可状請求する書面、裁判官交付の許可状に「差押えるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であり、その電磁的記録を複写すべきものの範囲」を記載せねばならない(通132⑥、通令45①六)。

(4)通信履歴の電磁的記録の保全要請

イ.当該職員は、差押え又は記録命令付差押えする為必要であれば
①電気通信を行う為の設備を他人の通信の用に供する事業を営む者
②自己の業務の為に不特定若しくは多数の者の通信を媒介する事の出来る電気通信を行う為の設備設置している者
に対し、その業務上記録している電気通信送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録の内必要なものを特定し、30日(特に必要があって延長する場合は通じて60日)を超えない期間を定めて消去しない様書面で求める事が出来ると共に(通134①前段②)、保全要請に関する事項をみだりに漏らさぬ様求める事が出来る(通134③)。
旧国犯法では、通信履歴は一般に短期間で消去される場合が多い事から、通信履歴の保管者に対し消去しない様求める必要性が認められ、又通信履歴は通信当事者の利益に関る為、保全を求める法的根拠を明確にしておく事が望ましいと指摘されていた。
こうした状況を踏まえ、平成29年度税制改正において、記録命令付差押え等の規定を補完して適時的確な証拠収集を可能とする観点から、刑訴法第197条3項5項の規定に倣い、通信履歴の電磁的記録保全要請に係る規定が整備された。

ロ.保全要請は飽く迄通信履歴に係る電磁的記録保存要請する事にとどまり、その電磁的記録を国税当局が入手する為には、裁判官の許可状発付を得て差押え、記録命令付差押え処分を行う必要がある他、差押え等の必要がなくなった時は、保全要請を取り消さねばならない(通134①後段)。

ハ.電気通信を行う為の設備を他人の通信の用に供する事業を営む者については、電話会社やプロバイダがこれに該当する。

ニ.自己の事業の為に不特定若しくは多数の者に通信を媒介出来る電気通信を行う為の設備設置している者については、自己の事業の為にLANを設置している会社や大学等がこれに該当する。

ホ.その他の通信履歴については、電気通信を行うプロトコルの種類や電子メールのファイルサイズ等の情報は含まれるが、電子メールの本文等の通信内容は含まれない。
尚保全要請対象となる通信履歴範囲については、要請があった時点において業務上保存しているものに限られ、要請があった時点で保存されていない情報やこれから保存されるものは対象とされない。

(5)電磁的記録に係る記録媒体差押え執行方法

イ.差押えるべき物件が電磁的記録に係る記録媒体である時は、当該職員はその差押えに代えて
①差押えをする者が電磁的記録を他の記録媒体に複写、印刷、移転した上で、その記録媒体を差押える
②差押えを受ける者に電磁的記録を他の記録媒体に複写、印刷、移転させた上で、その記録媒体を差押える
事が出来る(通136)。
旧国犯法では、電磁的記録取得の際は、電磁的記録が記録された記録媒体を差押える方法、相手方の任意協力を得て、必要な電磁的記録を他の記録媒体に複写等させ、それらを差押える方法があったが、前者については差押えを受ける者の業務に著しい支障を来たすおそれがある場合や、無関係な第三者の電磁的記録が多数記録されている場合など、差押えを回避すべき事情が存在し、後者については相手方の任意協力が前提で、非協力的では機能しないと指摘されていた。
以上の事から平成29年度税制改正において、適時的確な証拠収集を可能にすると共に、差押えを受ける者の業務負担軽減や第三者個人情報への配慮の観点から、刑訴法第110条の2、222条1項の規定に倣い、電磁的記録に係る記録媒体差押えに係る規定が整備された。
ロ.処分として可能なのは、差押えるべき記録媒体に記録された電磁的記録の他の記録媒体への複写、印刷、移転である。ここにいう移転とは、電磁的記録を他の記録媒体に移す、即ちCD-R等の他の記録媒体に複写した上、元の記録媒体からは電磁的記録を消去する事をいう。

(6)処分を受ける者に対する協力要請

イ.臨検すべき物件、差押えるべき物件が電磁的記録に係る記録媒体である時、当該職員は臨検、捜索、差押えを受ける者に対し、電子計算機の操作その他必要な協力を求める事が出来る(通138)。
これ迄電磁的記録に係る記録媒体の差押え等を行うに当たって、コンピュータシステムを構成する電子計算機の操作方法やセキュリティ解除方法等の技術的、専門的な知識が必要となるなど自力執行する事が困難な場合もあり、又差押え等を受ける者の中には、差押え等対象となっている電磁的記録について、契約等により明示出来ないとする者もいると指摘されていた。以上の事から平成29年度税制改正において、適時的確な証拠収集を可能とする観点から、刑訴法第111条の2、142条、222条1項の規定に倣い、臨検等処分を受ける者に対する協力要請に係る規定が整備された。

ロ.必要な協力とは、電子計算機操作の他、コンピュータシステム構成やシステム構成する個々の電子計算機の役割、機能、操作方法を説明する事、差押えるべき記録媒体や複写すべき電磁的記録が記録されているファイルを指示する事、暗号化された電磁的記録を復号化する事等が挙げられる。

5.調査上のその他の手続

(1)裁判官の許可を要する場合

イ.当該職員が犯則事件調査するにあたっては、なるべく任意調査(通131)による事が望ましいが、裏帳簿を作り、或いは証拠隠匿するなど計画的に行われた犯則事件については、この方法のみでは十分でない。
又犯則調査の相手方が、任意調査に応じない場合もある。従って強制調査による臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えの手段に出ざるを得ない。
しかし何人もその住居、所持品について、侵入、捜索、押収を受ける事のない権利は憲法が保障しており、正当な理由に基づき発せられ、然も捜索する場所、押収する物を明示する令状(許可状)によらねば、捜索、押収される事がない事は言わずもがなである(憲法35参照)。
そこで犯則事件調査する為に臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えをする場合、原則これら調査を行う当該職員の所属する官署所在地を管轄する地方裁判所、簡易裁判所の裁判官の許可状を必要とするとされている(通132①)。

ロ.急を要する場合に限り、前述の例外として、臨検しようとする場所、捜索しようとする身体、物件、差押えしようとする物件の所在地を管轄する地方裁判所の裁判官の許可状により、これら強制調査が可能となる(通132③)。

ハ.強制調査は、住居、所持品について権利を有する者の権利排除して強行可能なもので、相手方、その他の者による口頭の拒絶若しくは実力による抵抗があっても、当該職員は必要最小限度の物理的な力により実行出来る。
又当該職員の職務執行に対し暴行、脅迫を加えた時は、公務執行妨害(刑95)が成立する。

ニ.当該職員が裁判官に許可状を請求する時は、犯則事件が存在すると認められる資料を提供せねばならない(通132④)。
即ちその犯則事件に関し投書、内偵などにより、或いは検査取締りの結果により得た犯則嫌疑を起こすに足りる十分な資料などを示さねばならない。又許可状請求は、必要事項を記載した書面によらねばならない(通令45)。

ホ.許可状請求があった場合は、地方裁判所、簡易裁判所の裁判官は、犯則嫌疑者氏名、名称、罪名、臨検すべき物件、場所、捜索すべき身体、物件、場所、差押えるべき物件、記録させ、印刷させるべき電磁的記録、者、請求者官職氏名、有効期間その他期間経過後は執行着手出来ずこれを返還せねばならない旨、交付年月日、裁判所名を記載し、自己記名押印した許可状を当該職員に交付する(通132⑤)。

ヘ.有効期間経過した許可状で臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えを行う事は出来ない。裁判官から交付された許可状は、一度行使した場合、たとえそれが有効期間内であれ、再行使出来ない。

ト.一つの犯則事件であれ、臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えを必要とする場所、物件等を異にする場合(本店支店或いは犯則嫌疑者と参考人など)、当該職員は数通許可状請求して各別の許可状交付を受けねばならない(憲法35②)。

チ.当該職員は自己が交付を受けた許可状を他の当該職員に交付して臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えをさせる事が出来る(通132⑦)。

リ.許可状は処分を受ける者に提示せねばならない(通139)。

(2)裁判官の許可を要しない場合(緊急事件)
イ.現行犯

当該職員は、間接国税に関する犯則事件について、現に犯則を行い、又は行い終わった者がある場合において、その証拠となると認められるものを収集するに必要であり、且つ急速を要し許可状交付を受けられない時は、その犯則現場において、臨検、捜索、差押えが出来る(通135①)。
これは犯則行為を確認した場合、又は犯則が行われた事が明白である場合であれ、裁判官の許可状交付を絶対条件としたのでは、証拠隠滅、犯則嫌疑者逃亡が図られ、かえって社会秩序を乱す事になる事から、この様な規定が設けられている。以下三点に留意が必要である。
(イ)間接国税に関する犯則事件である事
(ロ)現に犯則を行っているか、犯則を行い終わった者でなければならない事
(ハ)強制調査可能なのは犯則現場だけである事

ロ.準現行犯

当該職員は、間接国税に関する犯則事件について、現に犯則に供した物件、犯則により得た物件を所持し、又は顕著な犯則の痕跡があり、犯則を行ってから間がないと明らかに認められる者がある場合において、その証拠となると認められるものを収集する為必要であり、且つ急速を要し許可状交付を受けられない時は、その者が所持する物件に対して、臨検、捜索、差押えが出来る(通135②)。
同じ許可状によらない強制調査でも、この場合には犯則嫌疑者が犯則発見の際にその現場に現在する事が必要である。

ハ.現行犯及び準現行犯の規定の違い

(イ)現行犯規定は、犯則現場だけで強制調査出来る事を定めているのに対し、準現行犯規定は、犯則嫌疑者の所持する物件にだけ強制調査出来る事を定めたもので、前者は場所に対する制限で、後者は物件に対する制限がある。

(ロ)現行犯規定は、犯則嫌疑者が現場にいるかどうかを問わないが、準現行犯規定は、犯則嫌疑者が事件発見の場所にいる場合に限られる。

(3)証票の携帯

当該職員が犯則事件調査を行う場合、その身分を示す証明書(犯則事件調査職員証票)を携帯し、関係人の請求があった場合は、これを提示せねばならない(通140、通規16①)。

(4)警察官に対する援助請求

当該職員は臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えを行うにあたり、必要があれば警察官の援助を求められる(通141)。
本条に規定する警察官援助と通則法142条2項(立会人)に規定する警察官立会いとの間には明らかな区別があり、警察官は前者においては当該職員に協力する立場にあるが、後者においてはこれを監視する立場にある。
又警察官援助は、当該職員職務である調査権行使に加担させられるおそれがある外部からの妨害を排除するにとどまり、当該職員の調査を手伝うなど職務執行そのものの援助ではない。

(5)鑑定、通訳、翻訳の嘱託

イ.当該職員は、犯則事件調査の為必要があれば、学識経験を有する者に領置物件、差押え物件、記録命令付差押え物件についての鑑定を嘱託し、又は通訳、翻訳を嘱託出来る(通147①)。
又鑑定人は、裁判官の許可を受けて、鑑定に係る物件を破壊出来る(通147②)。
旧国犯法では、鑑定、通訳、翻訳の嘱託について明文規定を欠いていたものの、解釈上通然に認められる行為として実施されていたが、平成29年度税制改正において、国税犯則調査手続における具体的手続を法令上明確化する観点から、鑑定、通訳、翻訳を嘱託出来るとすると共に、鑑定の嘱託を行った場合、嘱託を受けた者において、対象物件分析の為の消費等が必要になる場合もある為、適時的確な証拠収集を可能とする観点から、許可状に基づく破壊処分に係る規定が整備された。

ロ.破壊処分に係る許可状請求は、当該職員が裁判官に対して行い(通147③)、裁判官が請求を相当と認める時は、自己の記名押印した許可状を当該職員に交付し(通147④)、鑑定人が破壊処分を受ける者に対して許可状を示す事となる(通147⑤)。

(6)時刻制限

イ.臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えについては、(2)~(4)の場合を除き、許可状に夜間執行出来る旨の記載がない場合は、日没から日出迄の間に実行してはならない(通148①本文)。
旧国犯法では、臨検、捜索、差押えについては、原則日没から日出迄の間は執行出来ないとされてきた事から、日没前に新たに臨検等を実施すべき場所を把握したものの、許可状執行が日没迄に間に合わない場合や日没後に新たに臨検等実施すべき場所を把握した場合に、翌日日出迄臨検等開始を待たざるを得ない事例が発生していた。
以上の事から平成29年度税制改正において、適時的確な証拠収集を可能とする観点から、臨検等夜間執行に係る制限が緩和され、許可状に夜間執行出来る旨の記載がある場合には、日没後においても臨検等を開始出来るとなった。

ロ.現行犯、準現行犯の場合は、時刻制限関係なく、臨検、捜索、差押えが出来るとされる(通148①但し書)。

ハ.日没前に開始した臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えで、必要であれば日没後もこれら調査を継続出来る(通148②)。
これは既に着手した証拠収集手続を、日没により中途中止した場合に、証拠隠滅を図られるおそれがあり、一度開始された調査は日没後継続したとしても、日没後に初めて着手する場合と比べ、調査を受ける者の迷惑程度に大きな差がある。

ニ.課税貨物に課される消費税、酒税、石油ガス税に関する犯則事件については、旅館、飲食店その他夜間でも公衆の出入りが可能な場所では、時刻制限規定に関係なく、営業時間中など利用者が自由に出入り出来る時間内に限り強制調査出来る(通148①但し書、通令51)。
これは夜間営業を行っている特別の業者については、夜間調査でなければ証拠収集し、犯則現場発見に至らない場合があり、又私生活安静に支障がないと認められる所からこの様な規定が設けられている。

(7)出入り禁止

イ.当該職員は質問、検査、領置、臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えをする間、何人に限らずその場所への無許可の出入りを禁止出来る(通149)。
この規定趣旨は当該職員の調査に際し、証拠散逸防止、他から何らの障害を受けず適正円滑に調査実施を成そうとするものである。
ここにいう何人に限らずには弁護士、税理士、新聞記者などは勿論、犯罪嫌疑者、参考人も含まれるが、性質上立会人は除かれる。

ロ.出入り禁止場所は、許可状により強制調査を行う場合には、許可状記載の臨検しようとする場所、捜索、差押え、記録命令付差押えしようとする物件のある場所であり、任意調査、許可状によらない強制調査を行う場合に、その調査を行っている家宅、倉庫、船車などの場所であり、証拠散逸防止と調査妨害排除を図る上で必要範囲内にとどめねばならない。

ハ.出入り禁止に従わない者に対しては、臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えの場合、警察官援助、当該職員自身の実力により、その他の場合は当該職員の実力によりその禁止に従わせる事が出来る。

ニ.出入り禁止を行う場合はその旨口頭、掲示によるなどその時の状況に応じ、最適と思われる方法により告知し、出入り禁止強制を容易にする必要がある。

(8)執行中止の際の処分

臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えの許可状執行中止する場合で必要があれば、執行終了迄その場を閉鎖し、又は看守者を置く事が出来る(通150)。

(9)捜索証明書交付

捜索をした場合において、証拠物、没収すべき物件がない時、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書である捜索証明書を交付せねばならない(通151)。
旧国犯法では、刑訴法第119条、222条1項の様な捜索証明書交付に関する規定を欠いており、捜索証明書交付が行われない状況となっていた事から、平成29年度税制改正において、被捜索者利益を図る観点から、刑訴法の規定に倣い、捜索証明書交付に係る規定が設けられた。

6.調書

(1)概要

当該職員は、質問、検査、領置、臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えをした際は、その調書作成をせねばならない(通152)。
調書は当該職員が犯則事件調査を終え、これを国税局長、税務署長に報告して審理を受ける場合や検察官に告発する場合の証拠資料として必要であると共に、調書作成により当該職員の職務執行の厳正を期し、調査を受ける者の権利保護の為のものでもある。
従って調書は当該職員が行った各種処分がそのまま正確記載されねばならず、又その犯則事件につき公訴提起された際の刑事裁判証拠として使用される為に証拠能力要件を備え、然も証明力が豊かでなくてはならない。
刑訴法は証拠に厳格な要件を定める。
そしてこの要件に合致したもののみが証拠能力のある証拠として犯罪事実有無証明に用いられる。
これに対し証明力とは、証拠の実質的価値であり、即ちその内容は、証拠の実質的内容がどの程度信用出来るかという信憑性と、どの程度事実認定に役立つかという純粋の証明力を含む。

(2)調書作成要領
イ.調書作成者

調書は質問、検査、領置、臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えを行った当該職員が作成せねばならない(通152)。

ロ.調書作成場所、時期

犯則事件調査を行った場合、証拠、犯則事実有無関係なく、調書作成せねばならない。
調書は原則、調査場所において作成せねばならない。

ハ.調書記載事項

質問、検査、領置、臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えの事実、日時、場所(質問調書においては答弁要領、申立てに係る陳述を含む)を其々記載する(通令52)。

ニ.調書作成上の形式的要件

(イ)確認
当該職員は質問した時は、その調書作成後、質問を受けた者に閲覧、読み聞かせ誤りがないかを問い、質問を受けた者が増減変更を申し出た時は、その陳述を調書記載した上、質問を受けた者と共に著名押印(質問を受けた者が著名押印しない時又は出来ない時はその旨付記)する(通152③)。
検査、領置においてはその調書作成後、著名押印し(通152②)、臨検、捜索、差押え、記録命令付差押えにおいては、その調書作成後立会人に示した上、共に著名押印(立会人が著名押印しない又は出来ない時はその旨付記)する(通152③)。

(ロ)著名押印
著名とは自著をいい記名を含まない。又押印には指印を含む。

(ハ)契印
各種調書、領置目録、差押目録その他調査に関する書類紙数が2枚以上となる場合、各葉に契印せねばならない(通令56①)。

(ニ)文字挿入、削除
文字を加え、削除又は欄外記入した場合、その範囲を明らかにして、訂正部分に認印せねばならず、文字を削除する時は、これを読める様その字体を残しておかねばならない(通令56②)。