国税通則法国税通則法における犯則事件の調査及び処分其の三 犯則事件の処分

1.関節国税以外の国税に関する犯則事件等についての考察

当該職員は次に掲げる犯則事件調査により犯則があると思料する時、検察官に告発せねばならない(通155)。

  • 間接国税以外の国税に関する犯則事件
  • 申告納税方式による間接国税に関する犯則事件(酒税法55条1、3項の罪等に限る。通令53)

2.間接国税に関する犯則事件についての報告等

国税局、税務署当該職員は、間接国税に関する犯則事件(通則法155条2号に掲げる犯則事件を除く)の調査を終えた時、その調査結果を所轄国税局長、税務署長に報告せねばならない。
但し次の何れかに該当する時は、直ちに検察官に告発せねばならない(通156)。

国税庁当該職員は間接国税に関する犯則事件を終えた時、その調査結果を所轄国税局長、税務署長に通報せねばならない。
但し上記①~③何れかに該当する場合、直ちに検察官に告発せねばならない。

3.間接国税に関する犯則事件についての通告処分等

(1)国税局長、税務署長は間接国税に関する犯則事件調査により、犯則の心証を得た時は、その理由を明示し、罰金に相当する金額、没収に該当する物件、追徴金に相当する金額、書類送達、差押え又は記録命令付差押えの物件の運搬、保管に要した費用を指定の場所に納付すべき旨書面にて通告をせねばならない。
この場合没収に該当する物件については、納付の申出のみをすべき旨通告できる(通157①)。

(2)次の何れかに該当すると認める時、上記(1)の規定にかかわらず、国税局長、税務署長は直ちに検察官に告発せねばならない(通157②)。

  1. 情状が懲役刑に処すものである時
  2. 犯則者が通告の旨を履行する資力に欠ける

(3)上記(1)の通告に計算違い、誤記その他に類する明白な誤りがある時、国税局長、税務署長は犯則者が当該通告の旨履行し、上記(2)、通則法158条の規定により告発する迄の間、職権で当該通告を更正できる(通157③)。

(4)上記(1)の通告があった時は、公訴の時効はその進行を停止、犯則者が当該通告を受けた日の翌日から起算して20日を経過した時から進行が始まる(通157④)。

(5)犯則者は上記(1)の通告の旨履行した場合において、同一事件について公訴を提起されない(通157⑤)。

(6)犯則者は上記(1)の後段の通告の旨履行した場合において、没収に該当する物件を所持する時、公売その他の必要な処分がされる迄これを保管する義務を負う。
但しその費用は請求できない(通157⑥)。

参考迄に通告処分は「いわば犯則者と国家との私和を認めたというべきであり、国家の徴税の便宜を考慮した制度ではあるが、同法(国税犯則取締法)16条1項によれば、犯則者が通告の旨履行した時は、同一事件につき起訴される事のない事を規定している所からすれば、単に徴税の便宜のみによるものでなく、犯則者に対し同人がこの通告に従う事によって、公訴権消滅の利益を与えた制度でもある」(最高判昭和47.10.24)

4.間接国税に関する犯則事件についての通告処分の不履行

犯則者が通告等を受けた場合、当該通告を翌日から起算して20日以内に当該通告の旨履行しない時、国税局長、税務署長は検察官に告発せねばならない。
但し当該期間を経過しても告発前に履行すればこの限りではない(通158①)。
又犯則者の居所が明らかでない、犯則者が通告等にかかる書類受領を拒んだ、その他事由により通告等ができない時も同様に検察官に告発せねばならない(通158②)。

5.検察官への引き継ぎ

間接国税に関する犯則事件は通則法156条1項但書(間接国税以外の国税に関する犯則事件等についての報告等)の規定による国税局、税務署当該職員の告発、同条2項但書の規定による国税庁当該職員の告発又は同法157条2項(間接国税に関する犯則事件についての通告処分等)、同法158条(間接国税に関する犯則事件についての通告処分の不履行)の規定による国税局長、税務署長の告発を待って論ずるとされる(通159)。

告発は手続明確性確保の為、書面で行う。告発に際し、調査で作成した調書を添付し、領置、差押え、記録命令付差押えの物件がある時、これを其々の目録と共に検察官に引き継がねばならない(通159②)。

6.犯則の心証を得ない場合の通知等

国税局長、税務署長は間接国税に関する犯則事件の調査により犯則の心証を得ない場合は、その旨を犯則嫌疑者に通知せねばならない。
この場合、物件の領置、差押え、記録命令付差押えがある時はその解除を命ぜねばならない(通160)。