国税通則法国税通則法における不服審査及び訴訟 其の三 再調査の請求

1.再調査の請求

税務署長等が行った処分に不服がある方が、国税不服審判所に対する審査請求を行う前に、選択的に当該処分を行った税務署長等に対して、その処分取消しや変更を求め不服を申し立てる制度である。
この様な不服申立てを「再調査の請求」という。因みに平成28年4月から施行された行政不服審査法改正においては、処分庁に対する異議申立てを廃止し、最上級行政庁に対する審査請求に一元化する事とされた。
但し他の法律に特別の定めがある場合には、不服申立ての選択により審査請求前段階で処分庁が改めて処分を見直して決定する「再調査の請求」をする事ができるとされている。

国税に関する処分についての不服申立ては、その基本構造の例外として再調査請求を設けている。
通則法に新たに導入された再調査請求については、基本的に従前の意義申立てと変わらないが、再調査請求決定の審理手続等の整備が行われている。

2.再調査の請求書

(1)再調査請求書の提出

再調査請求は再調査請求書を提出せねばならない(通81①)。
従って口頭による不服申立ては認められず、書面提出は必須である。
尚、再調査請求書は一通提出で足り、副本の必要は無い。
又、再調査請求は本人のみでできるが代理人選任も可能である。

(2)再調査請求権の記載事項

再調査請求書は、次に掲げる事項を記載する(通81①)。

上記の他、不服申立期間経過後に再調査請求する場合は、通則法77条1項但書又は3項但書に規定する不服申立期間内に不服申立てをできなかった「正当な理由」を記載せねばならないとされている(通81②)。

3.再調査の請求書の補正

再調査請求されている税務署長その他の行政機関の長(以下再調査審理庁)は、再調査請求書が

  1. ① 通則法81条1,2項に定める記載事項
  2. ② 同法124条に定める書類提出者の氏名、住所及び番号の記載等

に違反する場合は、相当期間を定め、その期間内に不備を補正すべき事を求めねばならない。
この場において当該不備が軽微なものである時は、再調査審理庁は職権で補正できる(通81③)。
又補正を求められた再調査請求人はその再調査請求にかかる税務署その他の行政機関に出頭し、補正すべき事項として陳述し、その陳述内容を行政機関の職員が録音した書面に押印する事によっても補正は行える(通81④)。

・補正対象

再調査請求書の記載事項、添付書類の内、法律の要求する形式的要件を満たしていない不備があるものであり、下記の様なものがこれに当たる。

  1. ① 再調査請求権の記載不備
  2. ② 代理人により再調査請求する場合又は総代を互選した場合に、その代理人は総代の権限を証する書面が再調査請求書に添付されていない

・補正

4.再調査請求の却下(審理手続を経ず成す却下決定)

再調査審理庁は、上記通り補正を求めた場合において、下記に示す様な時は通則法84条1~6項(決定の手続等)迄に定める審理手続を経ず同法83条1項(決定)の規定に基付き、決定で当該再調査権を「却下できる(通81⑤)。

5.口頭意見陳述

再調査請求人は参加人(以下 申立人)から、口頭で意見陳述したい旨の申立てがあった場合は、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与える事が困難であると認められる場合を除き、再調査審理庁は当該申立人にその機会を与えねばならない(通84①)。
この様な意見陳述を「口頭意見陳述」という。
ここにいう「申立人の所在その他の事情」とは、例えば申立人が矯正施設に収容され、相当期間出所見込みがない場合など、申立人が再調査審理庁の指定した期日及び場所に出頭して口頭で意見を述べられない原因となる事情をいう(不基通(国)84-4)。
又「参加人」とは、当該不服申立てに参加する利害関係人をいい、「利害関係」とは、不服申立人以外の者であり、不服申立てにかかる処分の根拠となる法令に照らし、当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう(通109①)。
例えば抵当権の目的となっている財産を差し押さえた場合の当該抵当権者、公売財産の買受人などがこれに当たる。

・申立人の招集等

口頭意見陳述は、再調査審理庁が期日及び場所を指定し、再調査請求人及び参加人を招集して行う(通84②)。

・補佐人の帯同

申立人は口頭意見陳述において、再調査審理庁の許可を得て補佐人と共に出頭できる(通84③)。
又調査審理庁は、必要があると認める場合には、その行政機関職員に口頭意見陳述を聴かせる事ができる(通84④)。
ここにいう「補佐人」とは、再調査請求人又は参加人に付き添って口頭意見陳述期日に出頭し、その陳述を補佐する者をいう(不基通(国)84-6)。
例えば通訳や身体障碍者などの介添人などがあげられる。
尚、補佐人帯同は、申立人が十分に意見陳述できる様、専門的知識をもってその意見陳述を補佐させる趣旨の制度である事から、再調査審理庁はこの趣旨に従い許否決定するものと思われる。
因みに補佐人が税理士法に規定する税理士業務の制度規程に該当する行為をするおそれがある場合、その他税理士法違反のおそれがある場合には、許可せず又は既に与えた許可を取り消す(不基通(国)84-9)。

・口頭意見陳述における

口頭意見陳述において再調査審理庁又は行政機関の職員は、申立人陳述が事件に無関係の事項に渡る場合その他相当でない場合、これを制限できる(通84⑤)。
因みに「その他相当でない場合」とは、例えば申立人の行う意見陳述が既に成された陳述の繰り返しに過ぎない場合その他その発言が、口頭意見陳述の趣旨目的に沿わないと認められる場合などである(不基通(国)84-10)。
代理人により成された意見陳述効果は、申立人本人に帰属するので、申立人本人から改めて口頭意見陳述の申立てがあった時は、代理人により成された意見陳述と重複しない限度でこれを行わせる(不基通(国)84-10(注))。

6.請求人、参加人からの証拠書類提出

再調査請求人又は参加人は、自己の主張を理由付ける証拠書類は証拠物を提出できる。
この場合再調査審理庁か証拠書類又は証拠物を提出すべき相当期間を定めた時は、その期間内にこれを提出する(通84⑥)。
これを意義中立人の権利救済の趣旨から、自己の主張を裏付ける証拠書類又は証拠物を提出できたが、平成26年6月改正で、証拠書類を提出できる旨及びその提出すべき期間を明らかにしたものである。
ここでいう「相当期間」とは、証拠書類又は証拠物を提出するのに通常要する期間をいい、その期間は証拠書類又は証拠物の量や入手の難易などの事情に応じて定められるべきものである(不基通(国)84-11)。

7.再調査請求についての決定等

再調査審理庁としての再調査請求に対する判断は、決定により却下、棄却、取消し及び変更を行う(通83)。
当該決定は、主文、理由を記載し、再調査審理庁が記名押印した「再調査決定書」により成されねばならない(通84⑦)。
この決定において当該再調査請求にかかる処分の全部又は一部を維持する場合、その維持される処分を正当とする理由が明らかにされていなければならない(通84⑧)。

・審査請求ができる旨の教示

再調査審理庁は、再調査決定書(再調査請求にかかる処分の全部を取り消す決定にかかるものを除く)に再調査請求にかかる処分につき、国税不服審判所長に対して審査請求できる旨を(却下決定である場合にあっては、当該却下の決定が違法な場合に限り、審査請求できる旨)及び審査請求期間を記載して、これらを教示でせねばならない(通84⑨)。

・再調査決定書謄本の送達等

再調査請求決定は、再調査決定人(当該再調査請求が処分の相手方以外の者の成したものである場合における処 分の全部又は一部を取り消し又は変更する決定にあっては、再調査請求人及び処分の相手方)に再調査決定書謄本が送達された時にその効力が生じる(通84➉)。
又再調査審理庁は、再調査決定謄本を参加人に送付せねばならない(通84⑪)。

・証拠書類等の返還

再調査審理庁は、再調査請求についての決定をした時は、速やかに前述6.により提出された証拠書類又は証拠物をその提出人に返還せねばならない(通84⑫)。

8.救済手段の教示(3月後の教示)

再調査審理庁は、再調査請求が成された日(通則法81条3項の規定により不備補正すべき事を求めた場合にあっては、当該不備が補正された日)の翌日から起算して3月を経過しても当該再調査請求が係属している時は、遅滞なく、当該処分について直ちに国税不服審理所長に対し、審理請求ができる旨を書面で再調査請求人に教示せねばならない(通111)。
再調査請求人は、この教示の有無に関わらず、3月経過後はいつでも審理請求できる。ここにいう「不備を補正した日」とは、通則法81条3項(再調査の請求書の補正)の規定による補正請求に対する補正が書面提出する事により成された場合には、当該書面が再調査審理庁に到達した日をいう(不基通(国75-7)。