国税通則法国税通則法における罰則

通則法においては下記の様な罰則規定を設けている。

1.申告義務違反及び脱税煽動の罪

納税者がすべき国税の課税標準の申告(その修正申告を含む。以下申告)をしない、虚偽申告をする又は国税徴収若しくは納付をしない事を煽動した者には、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処される(通126①)。
又納税者がすべき申告をさせない為、虚偽申告をさせる為又は国税の徴収若しくは納付をさせない為に暴行又は脅迫を加えた者にも3年以下の懲役又は20年以下の罰金に処される(通126②)。

2.国税の調査、徴収事務従事者の守秘義務違反

  1. ① 国税に関する調査(不服申立てにかかる事件の審理の為の調査及び国税の犯則事件の調査を含む)
  2. ② 租税条約等実施特例法の規定に基付いて行う情報提供の為の調査に関する事務
  3. ③ 国税の徴収若しくは徴収共助による相手国等の租税の徴収等に関する事務

に「従事している」「従事していた」者が、これら事務に関して知る事のできた秘密を「洩らし」又は「盗用」した時は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される(通127)。

・調査に関する事務
質問検査権行使にかかる調査のみを示すものではなく、申告書が提供された段階から、申告審理、実地調査、更正決定に至る全ての事務を含む広い概念と解されている。

・これらの事務に関して知る事ができた秘密

専ら国税調査は国税徴収等の事務に関して得られた納税者その他の私人の秘密をいうものと解されており、従って国家公務員法上守秘義務規定における「職務上知る事のできた秘密」とは異なる。

3.虚偽記載等

次の何れかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(通128)。

(1)更正請求書に虚偽記載

虚偽記載した更正請求書を税務署長に提出した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(通128一)。
この場合の「偽りの記載」については「故意に」偽りの記載をする行為を処罰するものであり、過失犯については処罰対象にならないと考えられている。

(2)質問検査権許否妨害等

質問検査権規定に基付いてする税務職員の質問に対し、故意に「答弁せず」若しくは「偽りの答弁をし」又は同職員の検査、採取、移動の禁止若しくは封緘の実施を故意に「拒み」「妨げ」若しくは「忌避」した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(通128二)。

(3)提示、提出要求不応諾、虚偽記載帳簿書類の提示、提出

通則法74条の2~6迄の質問検査権に基付く物件の提示又は提出の要求に対し、故意に「正当な理由なくこれに応じず」若しくは「偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他物件を提示、提出した」場合に、1年以下の懲役又は50万円以下罰金に処される(通128三)。

4.不答弁、虚偽答弁

担当審判官等の質問に対し、「答弁せず」若しくは「偽りの答弁をし」又は同審判官等の検査を「拒み」「妨げ」「忌避し」若しくは当該検査に関し「偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した」者は、30万円以下の罰金に処される(通129)。
この罰則は審査請求人及びその特殊関係人には適用されない。

5.両罰規定

(1)業務主の処罰等

法人代表者(人格のない社団等の管理人を含む)又は法人、人格の社団等若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人、人格のない社団等又は人の業務又は財産に関して通則法127.128条の違反行為をした時は、その行為者を罰する他、その法人、人格のない社団等又は人に対し当該各条の罰金刑が科される(通130①)。
業務主処罰の趣旨は、業務主の従業員等に対する選任、監督上の義務に基付く過失を指定するものと解されている。

(2)人格のない社団等への両罰規定の適用

人格のない社団等に両罰規定を適用する場合、その代表者又は管理人が人格のない社団等を代表する他、刑事訴訟に関する法律における法人を被告人又は被疑者とする場合の規定が準用される(通130②)。